子どもが自分が一番だと感じられる学びの場を提供したい

 米デューク大学の研究者、キャシー・デビッドソン氏は「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%が今はない職業に就く」と話しています。そもそも大人が既存の職業だけを前提に、将来子どもが活躍できるかどうかを判断するのが間違っているのです。むしろ、未来的な職業は子どものほうがセンスがあったりする。だから、子どもの可能性を信じて、個性を活かしていきたいと思います。自分はここが好きだ。ここなら一番になれる。ここなら喜びが感じられるというのを自分できちんと認識できることがすごく大切です。

 時代が変わっているのに、学校教育は昔のままですから、ユニークな子どもは現在の学校ではその個性を伸ばせない。5科目バランスよく18歳までやるというのは、今の時代どうなのかと思わずにはいられません。一つの方向性として今の教育の方向性も否定するつもりはありませんが、それは学びの場が100個あるうちの1つでいい。他に99、もっと違う場所を目指した、もっと違う学びの場があればいいと思っています。LeafもQremoもその一つです。

 教育には世界を変える力があります。一人ひとりの多様な個性を伸ばす教育を推進することで福祉を変える力もあります。経済的な視点でみても、人口減少が進む日本で豊かさ(GDP=人口×生産性)を維持するためには生産性を上げていくしかない。

 石油などの資源は日本にはありませんから、いかにして付加価値を創造できる人材を育成するかが重要になります。異なる能力を持つ人を歓迎し、強みを伸ばす教育が「ここだけは負けないという突出した人材」「一つの圧倒的な強みを持つ人材」を生み出し、経済的にも大きな力にすることができるでしょう。

2014年6月1日付で社名をウイングルから
LITALICO(りたりこ)に社名を変えた

―――新しい社名には、どのような想いを込められたのですか?

 今、仕方なく選んでいるサービスを、もっとかっこよく、質が高くて、デザイン性を取り入れ、創造的に改革していくことで、「私は素晴らしいサービスを選んでいる」という誇りを持ってほしいのです。社名変更はそのためのブランドづくりの一環です。

「LITALICO」は日本語の利他と利己を組み合わせた造語です。当社の理念「世界を変え(利他)」「社員を幸せに(利己)」の両方を実現するという意思から生まれたものです。

 関わる人と社会の幸せを実現することが自分たちの幸せにつながる。利他の心というのは、日本人の良さの一つだと思うのです。震災のときもそうでしたが、自分の命を返り見ずに他の人のために行動できる強さを私たちは持っている。みんなで支え合うことができる。
 一方で、もっと利己的に、自分を大切にしてほしいという願いもあります。障害を持っている方の中には、「税金を使って申し訳ない」と思っている方もたくさんいます。そうではなくて、自分のことをもっと愛して、大事にしてほしいのです。

「せっかく雇ってもらったから」といって、どんな職場でも適応しようとするのではなく、もっと自分らしく働ける職場を時に我がままに選んでほしいです。社会に適応できない自分が悪いと感じるのではなく、今、自分が自分らしく働ける環境を社会の側につくっていくことで「今の子ども達にもっと多様な働き方が実現できる社会を届ける」LITALICOにはそんなメッセージも含まれています。

 私はLITALICOというブランドを選んでいる、質の高いサービス、自分に合ったサービスを選んでいる。自分の個性に合っていて、自分が幸せになるために買っているんだ、と利用者の方が誇りを持てるようなブランドにしていきたい。みんなが誇りを持っていい人生を歩んでいくためにも、この新しいブランドで、福祉と教育の世界を大きく変えていきたいと思います。


お知らせ

インタビューでお話しいただいた、LITALICO(りたりこ)社長の長谷川敦弥さんと、教育系NPO法人Teach For Japanの代表理事、松田悠介さん共同のセミナーが6/15(日)に開催されます。参加無料、今後の働き方、キャリア、そしておふたりの生き方など、直接お話を聞きたい学生、社会人の方はぜひご参加ください。

【セミナー概要(※事前申込が必要です)】
日程:6月15日(日)14:00-15:30(13:40より開場)
会場:株式会社LITALICO 東京本社 会議室
(中目黒GTタワー15F/中目黒駅 南口より徒歩1分)
会場地図:http://litalico.co.jp/about/map/

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