前回のステップ4で、「買うメリット(投資効果)があるのか」「なぜ、あなたが提案する商品・サービスがよいのか」「いま、決定する理由があるのか」という3点を、お客様側の決裁者に提案しました。具体的に提案書を出したことで、堂々とお客様に契約をお願いできる立場になれた、と考えて下さい。今回は、営業プロセスの最後となるステップ5「契約締結」について説明していきます。

 提案書と見積書を出した後は、お客様からの結論をじっと待っている営業マンがおそらく多いのではないでしょうか。ですが、もう一歩踏み込んで、お客様の社内承認を得るための手助けをすると、格段に決裁のスピードが速まります。

 では、社内承認のために何が必要でしょうか。それは、稟議書です。

 日本の会社の多くで、稟議決裁が採用されています。形式はお客様によって異なりますが、B3やA4用紙1枚など各社で規定されています。お客様側のあなたの応援者にお願いして形式を教えてもらいましょう。その形式にそって、あなたの手元で情報を整理して、稟議書の作成をお助けしましょう。

 形式の違いはもちろんありますが、主な稟議書の内容は次の5項目です。

 1.課題解決の狙いと効果
 2.解決策の全体図とその概要
 3.投資金額(一時諸経費と経常経費。経常経費には社内人件費を含める場合があるので注意)および商品・サービスの選定理由
 4.導入スケジュール
 5.社内およびパートナーを含めたプロジェクト体制、役割の明確化

 この5項目がスムーズに記入できるよう、稟議書の形式にそって必要事項を書き出して、お客様に渡せるようにしてください。この5項目は、法人営業に限らず、個人向けの商材の営業でも同様に大切です。自動車販売を例に確認してみましょう。

1.課題解決の狙いと効果 >現在のローンの金額と同等で、燃費がよく安全に運転できる
2.解決策の全体図とその概要 >週末を家族や友人と過ごすことができる多目的スポーツ車
3.投資金額(一時諸経費と経常経費)および選定理由 >自動車ローン月額3万円、頭金は下取り価格を充当など
4.導入スケジュール >ローン審査、下取り時期、納車日など
5.役割の明確化 >下取り保証や納車時期

 消費者向けの商材だと、イメージがわきやすいのではないでしょうか。