JR東日本の駅構内にある駅売店キオスクや、コンビニ店舗のニューデイズで、無人レジの導入が本格化する。

 店舗を運営するJR東日本リテールネットが六月から導入を始め、9月11日の時点で、新橋駅、有楽町駅、西船橋駅のニューデイズや、新宿駅、東京駅のキオスクに7台が設置されている。12月末までに山手線内の店舗を中心に、一気に100台を設置する。

 無人レジで商品のバーコードを読み取ると画面に精算金額が表示され、JR東日本が発行する電子マネーのスイカをピッとかざすだけ。私鉄などが発行するパスモも使える。逆に現金は使えず、未成年者に販売できない酒とタバコも取り扱いはしていない。

 一度、使い方を覚えてしまうと簡単で、おつりの受け渡しがなく、スピーディに買い物ができる。

 駅構内のキオスクやコンビニは、朝と夕方の通勤ラッシュ時が特に込み合っており、店内に足を踏み入れてもレジの待ち時間を敬遠して、なにも買わずに出て行ってしまうお客がいる。無人レジの導入で、ラッシュ時の混雑を緩和し、販売機会のロスを防ぐ狙いだ。同時にJR東日本にとっては、スイカの利用率向上が見込める。

 気になるのは万引きだが、販売員の目の届く有人レジの脇に無人レジを設置。同時に、防犯カメラを取り付けた。

 新橋駅のニューデイズを観察すると、まだ有人レジに並ぶ人がほとんどだったが、「体験者のリピート率は高い」(JR東日本リテールネット)という。利用率の高い新宿駅サザンテラス口にあるキオスクでは、利用客のほぼ一割が無人レジを利用する。

 利便性の認知が広まれば利用客が増え、売り上げ増につながる可能性は高い。駅周辺の競合コンビニにとっては、JRの小売り事業の脅威がさらに増すことになりそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)

 

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