テレビ「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」で紹介! 幼稚園児~小学生を「メシが食える魅力的な大人に育てる」ことを主眼とした学習塾「花まる学習会」の「本当に頭がいい子の育て方」を徹底解説! 作文・読書・思考力・野外体験を重視したユニークな教育手法は全国で多くの支持を得ている。

「わかっちゃった!」の快感を味わった子どもは、
勉強が大好きになる

花まる学習会 代表
高濱正伸(たかはま・まさのぶ)

1959年、熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。同大学大学院修士課程修了。1993年、小学校低学年向けの「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を重視した学習教室「花まる学習会」を設立。同時に、ひきこもりや不登校児の教育も開始。1995年には、小学4年生から中学3年生対象の進学塾「スクールFC」を設立。教育信条は、子どもを「メシが食える大人に育てる」こと。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」をはじめとするテレビ出演のほか、ラジオ、雑誌、新聞などにおいても、そのユニークな教育手法が紹介されている。著書の累計売上100万部超。

 私がまだ、塾業界の「新参者」だったときのことです。某大学で行われた教育心理学の研究会に、お声がけいただきました。

 参加者は、私以外、教育界の一線で活躍する識者や優秀な研究者、その卵たちです。

 その日は、私が発表する順番になっていて、「単なる計算だけでなく、思考力を養う目的で、このような教材をつくっています」と、みなさんに「なぞぺー(なぞなぞペーパーの略で、花まる学習会のオリジナル問題)」のプリントを配布しました。
 現物をお渡ししたほうが、私の狙いを理解してもらいやすいと思ったからです。

 私が具体的な説明をはじめると、みなさん、私の話はそっちのけで、ペーパーに夢中です。

「…………という理由で、われわれ『花まる学習会』は、これからの教育を変えていきたいと思っています!」

と20分ほどで発表を終え、「それでは、『なぞぺー』の答えをお教えします」と言ったとたん、会場の雰囲気が一変しました。全員が私を見て、叫んだのです。

「やめてください!」と。

 もちろん、 『なぞペー』の答えを言わないでください、という意味です。

 私はこのとき、「だから 、ここにいる人たちは、ここまで登りつめることができたんだ」と納得がいきました。
 その会場にいたのは、数学(算数)の猛者(もさ)ばかりです。なにも、ここで、小学生向けの問題にムキにならなくてもいいはずです。

 おそらく彼らには「うわっ、わかっちゃった!」という、「自分で答えにたどり着いたときの快感」が、すり込まれているのだと思います。

この「わかっちゃった快感」を知っている人は、「自分の頭で考えること」をやめません。答えを教えてもらうなんて、もってのほかです。答えを教えてもらったら、「わかっちゃった快感」が味わえないからです。

 問題が難しければ難しいほど、解くまでの時間が長ければ長いほど、得られる「快感」も大きくなると知っている。だから難しい問題ほど、やる気を見せます。

「最後まで自分で考えよう」「最後まで食らいつこう」という気持ちを持っている人は、執着心が強い。少しくらい理不尽な目にあっても、あきらめません。

 だから、強い。だから彼らは、研究なり実業の世界において、大きな結果を残すことができているのだと思います。