ビジネスモデルが注目される理由
では、なぜ今、ビジネスモデルが注目を集めているのでしょうか?
それは、ソニーやシャープなどの大手家電メーカー、ゲーム業界の任天堂、通信業界最大手のdocomoなど、かつてはなばなしい業績を誇った大手企業が苦境に立たされているからです。
その理由は、マーケティング戦術やダイナミックな競争戦略など、ある分化した領域で勝負するビジネスのやり方が通用しなくなったからです。
「顧客満足」を満たすだけではなく、なおかつ、きちんと「利益」も生み出すビジネスが求められているのです。いわば、総合的に判断して作り上げるデザイン重視の経営理論のあり方が望まれているのです。
一方、ネット系ベンチャーなど、経営資源の乏しい後発のチャレンジャー企業(二番手以降の企業)が目覚ましい活躍をしています。
これらの企業は、資源では圧倒的に劣っているので、そこで戦うのではなく、お金を払ってくれる誰かに最適なビジネスのデザインの「仕組み」を提供して利益を得ています。
これこそが、筆者が注目する「ビジネスモデル思考」に他なりません。
後発のチャレンジャーが攻めてきますから、既存の成功企業も彼らの攻め方を理解しなければなりません。
筆者は経営学者ですが、多くの企業の経営改革や事業再生などの案件に携わってきました。これまでの現場との共同作業を通じて、新規事業であれ事業変革であれ、ビジネスモデル思考法の必要性を痛いほど感じています。