先週の総括

 先週の日経平均は続伸して15700円台でスタートした。週央に米国で発表されたADP全国雇用指数が事前予想を大幅に上回り、週末の雇用統計に楽観的な期待が生じたためNYダウが200ドル近く上昇。週末にかけてもサブプライムローンの借り手に対する救済策や英国の利下げを好感し、日経平均は16000円台に乗せた。

 結局週末は16000円をわずかに割り込んだものの3日続伸して引けた。規模別には大型株が上昇を先導した。業種別には銀行株が引き続き大幅に上昇。他には小売・保険など内需関連銘柄が物色された。

今週の予報

医薬品:主力薬品特許切れで「晴」→「曇」

晴れ くもり

 今週の日経平均はもみ合いを予想する。日経平均は16000円台に乗せ、ここからは強弱感が対立しそうだ。日銀短観など重要経済指標も発表されるが、サブプライムローンの影響を懸念する企業が増えており、経済指標は弱めの基調が予想されるため、売りに押される展開もあろう。

 医薬品株の株価が軟調だ。代表銘柄である(4502)武田薬品工業を例に取ると、10月15日高値8310円から直近11月13日安値6590円まで20%急落した。とても16期連続最高益更新中の株価の動きとは思えない。市場は何を懸念しているのだろうか。

 1990年代は、医薬品株は食品株と並び、「景気ディフェンシブ銘柄」という位置付けであった。景気後退局面でも、食品と医薬品の支出は減らせないという理由であろう。だが最近の医薬品株は、「海外依存度」と「新薬開発力」を基軸とした評価が定着しており、普通に成長を評価される業種となった。

 武田薬品の場合、10月29日に高脂血症治療薬「TAK-475」の承認申請延期が発表され急落した。2010年を境に武田薬品の主力商品は特許切れを迎える。現在の最高益は「過去の遺産」の食い潰しであり、その後の成長ストーリーが描けないということで売り浴びせられたわけだ。これは武田薬品のみならず他の製薬メーカーにも当てはまることだ。

 また、処方箋に後発医薬品が優先されるという厚生労働省の提示も軟調な株価の遠因であろう。医療費抑制の切り札として来年4月から実施される予定だ。巨額の研究費を投じて開発を行う先発薬中心の大手メーカーの屋台骨を揺るがす恐れもある。今後は生き残りをかけ合従連衡も進むであろう。

今回のポイント(まとめ)

 2010年前後の主力薬品の特許切れが意識されているが、それを補う新薬の開発が難航している。医療費抑制のため後発医薬品の優遇が決定し、業界はM&Aを含めた生き残り策を模索し始めている。