個人でできることには限界があります。不慣れなことは誰かに託し、得意なことに力を注ぐ。同僚やお客さまをどんどん巻き込んでいけば、売上を効率的に伸ばすことができます。今回は、同僚を巻き込んだ手法を紹介。営業では勝ちパターンを知ることが重要です。そのために、できる営業マンを積極的に巻き込みましょう!
新刊『営業が死ぬほど嫌いでもラクに結果を出せる36のコツ』の著者・嶋津良智氏による連載第5回。
相手から技を盗む
私は営業マンを経て最年少で営業部長になったのですが、そこでの大きなテーマは、いかにして部下を成長させるかでした。
よく「80対20の法則」といわれます。たとえば会社組織なら、優秀なメンバーは全体の2割程度であり、その2割で、全体の8割の売上を生み出しているという経済法則です。
この割合は私の部においてもおおむね正しく、優秀なメンバーは全体の2割ほどで、残り8割は特に優秀ではない人たちでした。ではそのような状況で、部全体の売上を上げるために、マネジャーは何をすればいいでしょうか。
普通は、上位2割のメンバーについては「放っておいても大丈夫」「自由にやらせれば自分で考えてやってくれる」と判断し、残りの8割のメンバーを教育することで、全体を底上げしようとします。
しかし私は、多数の下位メンバーを一人一人教育することは、自分の手間と時間がかかりすぎるうえに、効果もなかなか上がらないのではないかと思いました。
それよりも、2割の優秀なメンバーを徹底的に教育し、その優秀なメンバーに残りの8割のメンバーを教育してもらったほうが、自分の手間をかけることなく、最短の期間で組織全体を成長させることができると考えたのです。
いわば「底上げ」ではなく「屋根上げ」です。