知らず知らずに“動きすぎている”社長たち

「事業がうまくいってない」「業績が伸びない」「資金繰りが厳しい」「人が育たない」など、会社はさまざまな問題を抱えています。その問題の根っこには往々にして“動きすぎてしまう社長自身の存在”があるのです。

 やっかいなのは、社長たちの動きすぎが「よかれ」と思ってなされたということです。

 社長であれば、当然「この会社を背負っているのは自分だ」という責任感や自負心を強く持っています。会社に対する責任感や自負心は、社長として必ず持っているべき重要な資質のひとつであることは間違いありません。

 しかし、ときにその責任感や自負心が強すぎるあまり、知らず知らずのうちにすべてに関与しようとしたり、自分一人ですべてのことを抱え込んでしまって、動きすぎてしまうことがあります。

動きすぎる社長の下では「ヒトが育たない」

 以前、全国の中小企業、ベンチャー企業の経営者が集う「ダイヤモンド経営者倶楽部」で講演をした際、会場にいらしていた経営者の方たちに「みなさんは、ご自分の時間をどのように使っていますか?」という質問をしてみました。

 すると、ほとんどの方から「戦略の策定や人材の育成に時間を使いたいと考えている」にもかかわらず、現実には「日々の業務を自ら率先垂範することに自分の時間の大部分を割いている」という答えが返ってきたのです。この答えから見えてくるのは、仕事のコアな部分のほとんどを社長自身が引き取り、やってしまっている、動きすぎる社長たちの姿です。