――その他に、販促・営業面で最近のトレンドはありますか。
最近、中堅の会計事務所で営業専任者を採用するところが増えていて、順調に業績を伸ばしています。事務所が7名を超えるくらいの規模になると、所長(資格者)に業務が集中して営業ができなくなります。また、資格者が営業を行うと、見込み客から問い合わせがあっても多忙を理由に断ってしまうケースもあります。そういう事務所に営業マンが入ると、受注件数を効率よく伸ばすことができるのです。
会計事務所で営業マンの採用が進んでいる理由は、税法に関わる部分は専門知識が求められるものの、それ以外の「経理代行」などはある程度売りやすい商品なので、前職までの営業スキルを生かせるからです。実際、営業経験さえあれば、畑違いの業界から来た方でもバリバリ活躍されることが多いですね。
資格者の採用で本当に大切なこと
――事務所がある程度成長すると、マネジメントも重要になってくると思います。人材採用や社員教育などで心がけておくことは何でしょうか。
商品を作り、マーケティングの仕組みができたら、次は人集め。集客ではなく「集人財」と言っていますが、やはり売上が止まる理由は人を集められなかったり、集めた人が定着しないところにあることが多いからです。
会計事務所には「10人の壁」のようなものがあって、5~7人くらいの規模を行ったり来たりしているところが多いのです。人を採用しても辞めてしまうという繰り返しで、なかなか10人のハードルを超えられない。その原因は、採用した資格者に所長と同じ能力を期待してしまうことがあると思います。過度な負担を強いた結果、「もう辞めます」って言われてしまう。あるいは、常に人が足りないという状況で採用しているので、「計画採用」ではなく「場当たり採用」になっている。したがって、その人にどんなキャリアを積んでもらいたいのか、どんなスキルを習得してほしいのかが明確になっておらず、その人に合った教え方ができないということもあるでしょうね。
――会計事務所から人材採用の相談を受けると、どんなアドバイスをしていますか。
採用のご相談を受けたときは、まずどういう事務所にしたいのかを聞かせていただくことが多いですね。そのうえで、計画に落とし込んでしまう。
例えば「東京オリンピックが開催される2020年までに、売上10億円、所員100人を突破したい」という場合は、そこから逆算して売上計画や採用計画を立てていくわけです。5年後の売上10億円に向けて、いつまでにどんなお客様を獲得するのか、お客様を獲得したら何名の採用が必要になるのか、採用した人財にどんな仕事を任せたいのか……。このように計画に落とすと必要な部分が明確になるので、それを1つずつクリアしていくような取り組みをご提案しています。
また、会計事務所の先生には、良い人財を採用するためにはマーケティングと同じくらいの費用をかけて、本気で採用に取り組んでいただくようにお願いしていますね。
(毎週金曜日更新。次回は司法書士事務所の経営コンサルタント・真貝大介氏のインタビューを掲載致します)