たとえば、池上さんが番組のなかでフリップを手にしながら解説するとき、こんな話し方をしていませんか?

「では、いちばん上のこの項目ですけどね」

そう言って、フリップの上の部分を指差すのです。
視聴者たちはそれと気づくことなく、ごく自然に視線誘導され、フリップに書かれている情報に目を向けてしまいます。
そうやって聞き手の態勢が整っているところに、あの一流の解説が耳から入ってくる。

だからこそ、池上さんのニュース解説はいつも頭の中にスッと入ってきます。
つまり彼は、「(視聴者が)見ていること」と「(自分が)伝えたいこと」を一致させる名人なのです。

「視線が迷わないスライド」は
どうつくるのか?

優秀なプレゼンターは、多かれ少なかれ、この「視線誘導」を行っています。
しかも、スライドのつくり方、シナリオの構成、トークの表現など、工夫の余地はさまざまです。

スライドで言えば、決定的に重要なのは「口頭での説明との対応関係」が見えやすくなっているかということです。

たとえば、下のスライドを見せながら、「こちらの6行めをご覧ください」と言ったとき、聞き手の目線はまず間違いなく「迷う」でしょう。