西條 白木さんの場合は状況が、スタートアップ期とは変わってきています。学生たちと白木さんの会社を研究させてもらってよくわかったのは、結局、児童労働をなくしたいと思ったときに、フェアトレードの恩恵を受けられる人は会社の業績規模と相関するわけです。事業を拡大しないと一部の人しか助けられない。事業規模が10倍になれば10倍の人を助けられます。そのためには、利益を上げていくビジネスモデルをつくらなければいけないし、そういうマインドの社員でチームを組まないといけない。
変化に合わせて、変わることはよいこと
石坂 最近、新卒採用者向けの社長講話で、こんな話をしました。よい会社とは変化していく会社。いまの会社と20年後が同じではやっぱり嫌だよね、と。会社に成長してほしいなら、自分も成長していかないと、会社は変わっていけない。世の中が変わっているわけだから、世の中に合わせて変化し続けることが会社のテーマです。
西條 「変わることはよいこと」と言い続けるのは大事だと思います。いままでAという方針でやってきて実績もある。これを変えるとなったときに、メンバーが「前任者のやり方を否定するのか」ととらえると変えにくい。
そうではなくて、「方法の原理」によれば、どうすればよいかは状況と目的に応じて変わりますから、状況と目的を認識し、会社も成長のステージで状況と目的は変わる。だから、そのときはそのやり方でよかったけど、いまの状況に合ったやり方に変えるべきだといった考え方をシェアしておかないと、表層的なところで「自分たちがやってきたことを否定された」という話になってしまうのです。
たとえば「ふんばろう」のときは、東日本大震災というあまりに大きな災害が起きて、何千人という人に動いてもらうときに有償にしたらもう、いくらお金があっても足りない。そのチームはボランティアというやり方が一番機能したと思うのです。
でも、「スマートサバイバープロジェクト」は、震災の教訓を活かして次の震災で一人でも多くの人の命を救うことを目的としているので、数年集中的に活動して終わりというわけにはいきません。そうなったときにはやはり体制を変えなければいけない。
石坂 どっちが正しいかではなく、状況に合わせて機能する方法を選んでいる。
西條 そうなんです。