ボストンコンサルティンググループ、ドリームインキュベータで培った経験を集大成した「リーダーシップの本質」、待望の改訂3版刊行を記念しての連載です。「リーダーシップは学んで掴み取るものである」など、多くの経営者・リーダーに支持されてきた「堀紘一リーダーシップ論」をお伝えします。
どれだけ優秀な選手がそろっていても
それだけでは真に強いチームにはならない。
リーダーの仕事は、製品を開発し、作ることではない。商品を売ることではない。会社が行っている事業の個別の仕事をすることではなく、その事業をうまく進めるための作戦を決め、社員に周知徹底させて、速やかに実践させることである。
プロ野球の監督のように、リーダーは前線に出て直接戦うことは少ない。直接戦う選手は、監督抜きに強いチームをつくることはできない。
強いチームになるためには、優秀な選手が必要だが、どれだけ優秀な選手がそろっていてもそれだけでは真に強いチームにはならない。最強の四番打者が一試合に四安打打っても、その前に走者が出ていなければ点は取れない。最強のエースにも失投がある。キャッチャーのリードが悪ければ、ピンチで逆転されるかもしれない。
それはみな、当の選手より監督の責任である。監督は作戦を決め、選手を動かすが、監督のやり方次第、用兵次第で、選手は迷ったり、やる気を失ったりする。だから監督は選手の誰よりも野球をよく知り、選手を知って、自分のやり方を示し、勝つ戦いをしなければならない。
同じように、他のすべての組織もリーダー抜きには強くなれず、またリーダー次第で強くも弱くもなるのである。したがって、もしその会社がうまくいっていないとしたら、最大の原因はリーダーにある。