「人生50ヵ年計画」で夢を現実にする

 孫さんは、自分が若い頃に掲げた夢を着実に実現しています。

 19歳で立てた「人生50ヵ年計画」は、以下の5つの目標が設定されていました。

(1)20代で名乗りを上げる
(2)30代で軍資金を貯める
(3)40代でひと勝負する
(4)50代で事業を完成させる
(5)60代で次の世代に事業を継承する

 では、その後の孫正義さんの経過はどうだったのでしょうか?

 まず、26歳でパソコン情報誌を創刊して、名乗りを上げています。

 次に、30代で米国からソフトなどパソコン周辺機器を輸入し、37歳で株式公開をして評価額2000億円相当の株式を保有することになります。

 40代になると、Yahoo! BB ADSLを開始し、大赤字を続けながらも、日本のブロードバンド業界に風穴を開けました。

 それだけではありません。47歳で日本テレコム、その翌々年にはボーダフォン日本法人を買収し、ソフトバンクを携帯通信会社に見事に変容させました。通信業界の大手NTTに対して、ひと勝負を打って出たのです。

 現在、50代の孫さんが率いるソフトバンクは、押しも押されもせぬ巨大企業となりました。売上高はNTTドコモを抜き国内首位となり、営業利益は国内最短で1兆円を超えています(NTT、トヨタに次いで3社目)。米国の携帯電話会社であるスプリント・ネクステルも傘下に置いています。着々と事業を完成させる方向に進んでいます。

 60代の目標である事業継承については、55歳のときに「ソフトバンクアカデミア」を創設し、社内外から優秀な人材を集め、後継者育成の帝王学を教えてきました。

 最近では、グーグルから引き抜いたインド人ニケーラ・アローラ氏を後継者の筆頭候補にしたことで話題になりました。60代で次世代に事業を継承する目標への布石を打ったのです。