今日誰もが知っている「情報化社会」「グローバル経済」という概念は、すでに60年代にドラッカーによって使われていました。今回ご紹介する『断絶の時代』は、今なお続く社会の転換期「断絶」についての深い洞察に満ちています。その輝きは刊行から40年以上経過した今なお色褪せません。
時代を変えた書『断絶の時代』が
刊行された1969年はどのような時代だったのか
出し抜けに40年以上も前のことで恐縮ですが、以下、1969(昭和44)年に起きた主な出来事をいくつかピックアップしてみます。
1月 チェコスロバキアの大学生がプラハ市内の広場において、ワルシャワ条約機構軍の侵攻による「プラハの春」圧殺に抗議して焼身自殺を図る。東京大学安田講堂では、日米安保条約や授業料値上げなどに反対する全共闘や新左翼の学生たちと警視庁機動隊が衝突。東大構内での逮捕者は600人以上にのぼり、この年の東大入試は中止となった。
4月 連続射殺事件犯人の永山則夫逮捕。シャルル・ドゴールはフランス大統領を辞任した。
5月 東名高速道路が全線開通。
6月 日本のGNP(国民総生産)が西ドイツを抜いて世界第2位になったと経済企画庁が発表。ニューヨークではゲイによる暴動、いわゆる「ストーンウォールの反乱」が発生した。
7月 アポロ11号が人類初の月面有人着陸に成功。
8月 ロックミュージックの祭典「ウッドストック・フェスティバル」開催。
(以下、省略)
この年、ピーター・ドラッカーの名著として知られる“The Age of Discontinuity”が米国で刊行され、その初訳となった『断絶の時代――来たるべき知識社会の構想』も同じ年に日本で出版されました。そして38年後の2007年には、最新訳版として『断絶の時代――ドラッカー名著集「P・F・ドラッカー・エターナル・コレクション第7巻」』が発刊されています。