「ヘンタイ美術館」とは、美術評論家・山田五郎さんを館長、ズブの西洋美術シロウト・コピーライターこやま淳子さんを学芸員見習いに見立てた架空の美術館。美術に興味はあるけれどどこから入っていいのかわからない、という方々に向けた、西洋美術の超入門・連載です。こちらの連載では、書籍『ヘンタイ美術館』から内容をピックアップしてお届けします。今回は、「『最後の晩餐』は、なぜボロッボロなのか?」です。

『最後の晩餐』は、なぜボロッボロなのか?

山田 ダ・ヴィンチの、完璧主義なのに飽きっぽい性格って、
仕事を頼むうえでのリスクは大きいですよね。

こやま 頼みたくないですよね。

山田 しかもダ・ヴィンチの場合、さらにもうひとつのリスク要因があったんです。『最後の晩餐』ありますよね。数少ない完成作のひとつなんですけど、実物をご覧になったことありますか?

客席 あります。修復前ですけど。

『最後の晩餐』1494-1498年、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院、ミラノ

山田 修復前! ボロッボロだったでしょ?
ボロッボロですよね!!!

ボロッボロなんですよ!

こやま どんだけボロッボロなんですか(笑)。

山田 この写真はたぶん修復された後の状態なんじゃないかと思うんですけど、僕が学生時代に見たときなんか、もうボロッボロ。これはサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院というところの食堂に描いた壁画なんですけど、完成した直後、レオナルドが生きてる間にすでに絵具がはがれ落ちてきていたそうです。

こやま ダメですね!