「午前中はいつも眠くて仕事がはかどらない。結局残業でカバーしてしまい、今日も寝るのは夜遅く。そしてまた次の日の朝がつらい……」。そんな忙しいビジネスパーソンのために、「高い集中力を維持するにはどうしたらいいか」をご紹介します。(構成・馬田草織、写真・公文健太郎)
集中力を鍛えたいなら
まずは手帳の使い方から
「集中力を鍛える」というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。「文字を逆さで書く」「3日前に食べたものを思い出す」など、慣れないことをして脳を刺激するイメージを持たれている人は多いのではないでしょうか。
それも大事ですが、もっとカンタンで即効性のある方法があります。それは「時間の使い方を見直すこと」。
「時間の使い方と集中力との間に、いったい何の関係があるの?」と驚かれた方もいると思います。実は、この2つは切っても切り離せないもの。集中力とは、「少ない時間で大きな成果を上げる能力」と定義できます。
大きな成果を上げたとしても、必要以上に時間がかかっているようでは、その人は「集中した」とは言えません。短時間で作業を終えて、はじめて「集中した」と言えるのです。
実際に、時間の使い方を見ればその人の集中力がわかります。できない人の典型は、休養の時間をつくらず、仕事の予定をつめ込む人。手帳を見れば、3時間以上同じ予定を組んでいたり、予定と予定の間にスキマをまったく挟んでいなかったりします。
当然のことですが、人は長時間集中し続けることはできません。自分で長さを設定できるにもかかわらず、打ち合わせの時間を2時間も3時間もぶっ続けでとっている人はいませんか?
繁忙期なら仕方ありませんが、一年中深夜残業を前提にして、予定を組んでいませんか? そもそも集中できる限界を超えて予定を組んでは、効率よく成果を上げることなどできません。
時間を管理し、集中しやすいスケジュールをつくることは、ビジネスの成果を上げることに直結します。そして上手に時間を管理するなら、手帳が最強のツール。集中力を上げたいと思うなら、まっさきに手帳の上手な使い方を知っておくべきなのです。
いままでどう時間を
使っていたかを見直す
休養を入れると
逆に早く帰れる
手帳の具体的な使い方に入る前に、ぜひ知っていただきたいことがあります。それは、集中は「休養」という土台の上に立っているということ。
「休養」とは、10分程度の「休憩」や1日休める「休暇」、ほかに睡眠時間など、体を休ませることを指します。
「休養なき集中」ということはありえません。1時間半~2時間につき10分程度の休憩を入れて、作業時間を短く切りつめるからこそ、集中できるのです。
休養なしで働き続けてしまうとどうなるでしょう。働きはじめて2時間ほどしたら集中力が切れ、「昼食が待ち遠しいな……」「もういい加減早く帰りたいな……」と雑念が押し寄せてきます。
夕方にはすっかり疲弊してもうヘロヘロ。「定時までにここまではやっておこう」というノルマも諦め、ダラダラ残業をしてしまう……。これでは生産性がどんどん落ちてしまうのがオチです。ここまで極端にはいかずとも、似たような経験をした方はいらっしゃるのではないでしょうか。
1時間半~2時間につき10分程度の休養を入れることで、時間に「仮のデッドライン」ができます。「あと30分で休憩だ、キリのいいところまで終わらせよう」「退社時間までに終わらせないといけないぞ。ラストスパートをかけよう」というように、締め切り意識を持って自分を追い込むことができます。
そうすることで、休憩なしの場合よりも生産性が高まる場合が多い。一見遠回りに見えるかもしれませんが、早く帰りたい人こそ、休養が必要不可欠なのです。
「途中で休みを入れたくても、自分1人の都合だけではどうにもならないこともあるだろう」と思う人もいるかもしれません。2、3時間を超えるような打ち合わせや会議が、自分の権限を超えたところで設定されることもありますよね。
そういうときは、「このままでは集中力が切れてクリエイティブな意見が出ません。10分休憩しませんか?」と提案することをおすすめします。
1時間半~2時間に1度
10分休むクセをつける
(次回は1/28(木)公開予定。カンタンにマネできる、上手な手帳の使い方を紹介します)