高級セダンに乗る人は、ステイタス性を求める。古い高級車に乗っていること自体、彼らのプライドが許さない。常に新型を求め、残存価値が残っていても、状態のいいマシンを売却して、新型のマシンを購入する。もったいないことではあるが、このような人々のおかげで、ワタクシは激安で高級中古車を手に入れることができるのだ。ありがたい気持ちで胸がいっぱいになる。

 安さにこだわるなら、値落ち率が高いクルマを選ぶことも重要だ。個人的にオススメはトヨタの高級車だ。日本車だから品質も高く、出来がいい。トヨタであれば全国にディーラーも多く、交換するパーツの在庫も豊富で、すぐに修理ができる。いまは亡き徳大寺有恒氏が著書の中で、クルマに興味がない人にオススメの新車を訊かれたら、迷わずカローラを推薦すると書いていた。理由は、全国にディーラーがあり、旅先で故障しても安心だからだそうだ。

 ワタクシが60万円で買ったクラウンマジェスタは、元々オプションも含めて約700万円で売られていた。高級車なので、革シート、サンルーフ、カーナビがついている。山梨県で法人の前オーナーが大切に乗っていたらしく、状態もとてもよかった。ワタクシが住む北海道特有の下回りのサビもなかった。価格は10分の1以下に落ちたが、クルマとしての残存価値は95%くらい残っていると思う。

 ところで、2014年のデータで、日本の自動車市場は、日本車が94.0%を占めている特殊な市場だ。アメリカではヨーロッパ車が8.8%、日本車が37.6%を占めていて、アメリカ車は45.6%でしかない。アメリカ人も壊れないクルマを望んでいたのだ。

 1990年代、15年落ちのキャデラックが1500ドルで、同じく15年落ちのカローラが3000ドル前後で販売されていた。日本車のほうが価格の下落率が低いのだ。逆にいうと、日本で10年落ちの日本車は、驚くほどの激安価格で販売されているので、お買い得ということだ。

 ただし、30年前は5万円以下のクルマが多数あったが、最近は賢くなった外国人が、日本のオークションに参入してきて、海外に高品質の中古車を輸出している。当時と比べると、やや値段が上がった。それでも、高品質の中古車がこれだけ流通しているので、日本は恵まれた国だと思う。