ISAKが学力のみを評価軸としない理由
小林 ただ、大学の進学実績は一つのマイルストーンではありますが、そこで学校の真価が測られるべきとは思っていません。そもそもISAKは、学ぶことに対して高いモチベーションを持つ生徒を求めていますが、入試の際には多角的に受験生を評価しています。
石川 ああ、なるほど。生徒の興味も得意分野も様々だから、将来的に進む道も千差万別ということね。
小林 大事なのは、彼らがこの3年間、「何かやったら自分はできるのかも」という自信をつけること。結果的に入る大学が全く違ったとしても、同じくらい高いポテンシャルを持って巣立っていくと思うんですよ。だから正直、大学の進学先がどこかというのは、そんなにたいした問題ではないと思っています。
石川 なるほど。
小林 おもしろい話がありましてね。学校説明会では、ISAKの在校生とその親御さんが質疑応答に対応するんですよ。その時に、会場から真っ先に聞かれるのが、「大学は国内希望ですか、国外希望ですか?」って質問なんですね。高校1年の生徒が答えたのが、「自分たちはこの3年間で、何を自分はやりたくて、どう生きたいかを探している最中です。大学が国内であろうと国外であろうと関係ありません。それはたいして重要ではありません」って。会場一気に静まり返る、みたいな(笑)。
石川 あはは。
小林 もちろん自分のアカデミックな実力の中で、出来るだけ上の方の大学に行きたいっていう気持ちはあると思いますよ。それをサポートするのが学校の責務でもある、と。でも進学先だけが全てではないし、ISAKの真価もそれで測られたくはないとは思っています。身の回りにある疑問に対して、ちゃんと向き合っていけることの方がよほど大事。そして行動に移していける人かどうかっていうことですよね。
石川 さらに、そういう子を育てていってあげる。
小林 そうですね。ただ、高校時代の限られた時間が奇跡を起こせるわけではなくて、長い人生の旅路の中の、問いかけや行動の最初のきっかけになればいいなと思っています。10年後なのか20年後なのか、いろんな形でそれぞれの人生の中で花開いていくスタート地点になれば嬉しいですね。