「だから、実現できる」とクリアに示す

 そして3番目の「本当に『実現』できるのか?」は、プレゼンを聞いているだれもが感じるシンプルな疑問だ。

「これは世界にたった一つの○○というサービスを可能にするものです」「このシステムが完成すれば、1ヵ月で3億円儲かります」など大きな話をするのはいい。

 しかしその瞬間、「それって本当か?」「実際にできるのか?」と多くの人が疑問を持つ

 その問いに対して「すでにうちは○○という特許を取得しています」とか「世界で3本の指に入るトップエンジニアがいます」「このような市場テストで検証済みです」「このような販売ルートをすでに確保済みです」など、実現する算段が立っていることをプレゼンターは語らなければならない。

 要するに、「こんなに儲かる話があって、これほどユニークな魅力を持っていて、このような理由で実現可能で、あとはただ一点、あなたの決裁(あるいは「資金」「協力」など)だけが必要なんです」というのが正しいプレゼンのかたちなのだ。

 これは投資案件など社外でのプレゼンもそうだが、社内で企画を通そうとする際もベースは同じと考えていい。

「いかに速く、どれくらい儲かるか」「どんなユニークポイントがあるか」「実現可能であること」を、説得力を持って語ることができれば、間違いなくだれかが食いついてくる。

 逆に言えば、この3つの要素が決定的に欠けていたなら、いくら内容をこねくり回しても結果は変わらないということだ。

 EMBAのクラスでも、テクノロジーに詳しく、ことあるごとに自分の技術や夢をいつもうるさいくらいに語ってさまざまな相手に企画を売り込んでいたインド人のMという男がいたが、同じクラスにいたシカゴで投資会社を運営するフレディがこの点について指導したところ、30枚あったプレゼン資料が数枚になり、はるかに提案が魅力的になった。

 卒業後、彼はグーグルグラスのようなカメラ付きのサングラスとSNSを組み合わせたサービスの企画で、キックスターターなどのクラウドファンディングで多額の投資を集めている。