【中原】どのような日本語レベルの外国人さんが来るんですか?

【C店長】実際にお店に立ってみても、「いらっしゃいませ」すら小さい声でしか言えない人とか、日常会話がスムーズにできないような人も来ます。日常会話のやり取りができないと、接客は厳しいですから……。
女性の方だったのでホールで働いてもらったんですが、日本語がやっぱり厳しかった。注文を取るときも最初は付きっきりでやったんですが、私の店は昼の繁忙時でも5人という少人数で回さないといけないので、付きっきりの指導にも限界があります。

【中原】僕の大学の近くのコンビニもほとんど外国人の方ですね。先日、おでんを注文しようとしたんですが、おでんの具の名前が伝わらないことがありました。それも仕方のないことだと思います。「はんぺん」とか難しいじゃないですか。「これとこれ!」という感じで指さして、買いましたね。

【C店長】これは会社全体の悩みでもありまして、外国人に日本語を少しでも覚えてもらうために、最初に1時間くらいですが研修に行ってもらいます。そのあと、実際に勤務に入ってもらうというシステムです。

【中原】外国人の方が増えているというのは、ほかの店長さんはどうでしょうか?

【A店長】うちのような都心部では特にですが、募集をかけたときに応募してくる人の半分以上は外国人ですね。ですが、いま私の店舗では外国人アルバイトは採っていません。私が着任したときは、外国人アルバイトの比率は半分くらいでしたが、これをゼロにすることからスタートしました。
過去に外国人を採用していたこともあるのですが、外国人は採りやすい反面、たとえば中国人のアルバイトが増えていくと、日本人の従業員との間に心理的な「壁」みたいなものができることがあるのです。その壁をいかに取り除くかが課題になります。

【中原】「壁」ができるというのは、どんな感じなんですか?

【A店長】たとえば休憩のとき、中国人同士は当然中国語で会話をします。そこに日本人の学生の子が1人でいるとすごくアウェーに感じて、疎外感を抱くという話を聞いたので。

【中原】そういうことが起こるのですね。

【A店長】いろいろ苦労した結果、サービスの面では、日本語の細かいニュアンスがわからないために起きていた苦情はなくなりました。日本のサービス業では、お客さんの要望に対してどうすればいいかを考えるところ、「空気を読む」的なところが求められることがあります。言われたことだけをそのまま受け止めると、これは難しいようです。

【中原】日本のサービス水準は高いですからね。高いサービス基準はたしかに大切なのですが。ファストフード型のサービス業に、あまりにも高い水準を求めすぎると、今度は、人手不足問題に対応できなくなってしまいますね。