事業計画書といえば、何十枚にも及ぶ書類を作成しなければいけないと思われがちだが、そんなことはない。起業して資金を調達するための事業計画書はもっと簡素でいいのだ。日本政策金融公庫に26年間勤務し、5000人以上の創業融資に携わってきた上野光夫氏が、起業のための事業計画書のポイントを紹介する。
女性がメイクをするように
見栄えのいい事業計画書をつくる
融資を受けるための事業計画書は、自分が見るだけではなく、人に見せて評価してもらうことになります。審査をパスするという目的を達成するには、できるだけ高い評価を受けなければなりません。
そのためには、女性が化粧をするように、男性だって大切な人に会うときに身だしなみを整えるように、見られることを意識して魅力的につくりあげることが重要なのです。
女性の化粧にたとえると、「チャームポイントは引き立てる」「気になるところはうまくカバーする」ということです。ただし、「スッピンとは違いすぎないように」という留意点もあります。ハリウッドの特殊メイクのようにほんとうの姿とかけ離れてしまうこと、つまり嘘を書くのはNGです。
好印象を与える5つのポイント
具体的には、次のような点を意識して書くことが有効です。
(1)細かいところも漏れなく記入する
融資担当者やその上司が創業計画書を見たときに、細かい部分も漏れなく書いてあるほうが、「この起業家はきっちりしている」という印象を与えます。
例を挙げると、創業計画書の冒頭にある作成の日付、「3 取扱商品・サービス」の「売上シェア」、「4 取引先・取引関係等」の「人件費の支払」の欄などは、空白になりがちです。これらを漏れないように記入すると、細かい部分もおろそかにしない姿勢を示すことができます。