イスラエルの農業ベンチャーを支える
「キブツ」の存在

 キブツとはイスラエルの集産主義的協同組合のことで、独自の産業を持っているキブツも多々ある。

 その歴史は20世紀初めにまでさかのぼる。1909年に帝政ロシアの迫害を逃れてパレスチナ地方に入ったユダヤ人男女の一群が、ガリラヤ湖畔にキブツ「デガニア」を作ったところからスタートした。現在キブツの数はおよそ270あり、農業生産では全体の40%、輸出向け工場製品の約8%を占めている。キブツ発の農業関連企業を以下に紹介する。

Hazera(ハゼラ)社

キブツ発のHazera社は、野菜の生産、輸出会社である。同社は最初はキブツと村によって保有されていたが、今ではオランダとイスラエルに会社の本部を持つ。主な製品としては大きくて甘いトマト、また中サイズのトマトなど、様々なトマトの種子を開発し、種子1kgあたりおよそ20万ドルで取引されている。

Biobee(バイオビー)社
バイオビーは伝統的なキブツ「サデ・エリヤフ」の技術に端を発する。BioBeeは単に作物に受粉させるだけでなく、作物に害となるフルーツハエ、ダニの天敵ともなるミツバチを生産している。

AKOL(アコル)社
AKOL社の代表的な商品はキブツ「ブロル・ハイル」が発祥のクラウドベースの農業システムである。このシステムによって、農家は適切に施肥、水をまくこと、そして家畜の体調、餌の管理ができる。

 イスラエルでは乳牛一頭あたりのミルクの生産量が世界トップである。世界平均が一頭あたり年間3000~4000リットルであるのに対し、イスラエルでは1万2000リットルにものぼる。これはAKOL社やAfimilk社といった企業からの的確な情報による管理が、生産性を最大化させているためだ。