EC膨張 アマゾン・楽天・ヤフー 物流抗争#5Photo:AFLO

日本郵政グループと楽天グループが共同運営する物流センターで“パンク”が相次いでいる。にわか仕込みで手を組んだ楽天・郵政の物流は脆弱さが露呈しているが、ヤマトホールディングスに物流を任せたヤフーでも、鉄壁のアマゾン物流網に対抗できていないのが実情だ。なぜ楽天・郵政連合とヤフー・ヤマト連合がアマゾンに太刀打ちできないのか。特集『EC膨張 アマゾン・楽天・ヤフー 物流抗争』(全5回)の#5では、EC物流業界の構造を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 村井令ニ)

楽天・物流センターで遅延頻発!
毎月パンクの異常事態

「物流センターの処理能力を超えた出荷の依頼があり、サービスレベルの遅延が発生しております」

  コロナ禍で電子商取引(EC)の荷物が急拡大した昨年以降、楽天グループから毎月のように届く物流センター遅延の通知に、楽天市場に出店する企業の幹部は頭を抱えていた。

  EC市場では商品に大きな価格差がつかないこともあり、配送のスピードが出店企業の競争力に直結する。度重なる配送の遅れは出店企業の信用力を落とし、競合に顧客が奪われかねない。

  ECの商品を注文してから届くまで――。商品配送のスピードを決めるのは、ヤマトホールディングスなど宅配大手が持つ配送車の陣容ではなくて、物流センターの処理能力である。

 アマゾンジャパン、楽天、ZホールディングスのEC大手3社が、全国各地の物流センターを囲い込んでいるのはそのためだ。

  そこで、ダイヤモンド編集部は楽天市場の物流センターに関する実態調査を実施した。その結果、昨年6月以降に出荷遅延が頻発し、ほぼ毎月のように物流がパンクする「異常事態」に陥っていることが分かった。

  果たしてECにおける物流の最前線で何が起きているのか。