(1)エネルギー保存の法則を理解するための実験道具。戦前から受け継がれ、修理のハンダ跡も残る (2)旧校舎でも掲げていた昔の看板。物理準備室には天体望遠鏡など観察・実験器具が詰まっている (3)むき出しの物理準備室の天井。建物の施工法も直に見ることができる
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旧制高校から受け継いだもの

――これはまたずいぶん古いものですね。「所作製津島(島津製作所)」と右から左に書いてあります。

島崎 助手さんにも手伝ってもらって、ハンダ付けなど修理をしながら使い続けています。エネルギー保存の法則を理解するための実験道具なのですが、ループの最高点と同じ高さから球を落としてもそこにはたどり着かないのはなぜか。ループを回転するために必要な最下点での速さの条件など、円運動の基本を理解することにも使用します。

――天体望遠鏡や実験器具などたくさん詰まっていますね。他にも工夫が?

島崎 物理の準備室は、いまの施工法を実感できるよう、あえて天井を張らずに配管が見えるようにしてあります。建築関係を志望する生徒もそこそこいますので。

――校倉造りの旧標本庫から運び込んだものも多そうですね。

島崎 昔の各科の器具庫や展示棚から移した鉱物や化石の標本は、地学実験室近くの廊下に昔のままの展示棚に入れ、古い実験器具と併せて展示してあります。生物関連は4階です。

――何に使ったのか想像がつかないような器具もありますね。

島崎 日本で一番古いというバクの剥製もあります。いつ購入したかは分かりませんが、動物の骨格標本、ホルマリン漬けの生物標本もたくさんあります。劣化を防ぐため温湿度を一定に保ち、紫外線も防ぐ標本庫で大事に保管しています。

(1)バクの骨格標本と剥製 (2)旧標本庫から移送されて展示されている鉱石や化石の標本。収容している棚も昔からのものをそのまま利用 (3)(4)標本庫にはホルマリン漬けの生物標本や骨格標本なども多数保管されている (5)年代物の机と椅子も空いたスペースで活用
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