
田中秀征
第114回
もう20年以上も前のことだが、私は一度だけ北朝鮮に行ったことがある。訪朝した際に、日本の国会議員は、金日成主席と面談の機会を持った。小さな部屋でテーブルをはさんでの面談だったが、さすがに主席の存在感は圧倒的なものであった。

第113回
野田内閣の不支持率がついに支持率を上回った。その背景には、一川防衛相と山岡消費者相の問責決議案の可決、消費税増税をめぐる動きがあるが、このままでは政治的混乱を招くだけで、成果が際立って乏しい政権として終わりかねない。

第112回
橋本龍太郎元首相が火付け役となって始まった普天間移設問題。民主党政権、特に菅直人政権以来、大きくその構図が変わってしまったが、今回の一川防衛相の不適切発言への首相の対応によって、それがより決定的になったと感じられる。

第111回
注目された大阪のダブル選挙は、大方の予想通り「大阪維新の会」の圧勝で終わった。なぜ維新の会が大勝したか。さまざまな要因があるのはもちろんだが、やはり突出した2つの大きな要因が指摘できる。

第110回
11月19日に開かれた東アジアサミットは、期待以上の成果を挙げた有意義な会議であった。特に、南シナ海問題を俎上に上げ、ASEAN諸国が結束して中国に迫った点、東アジアの自由貿易協定「ASEAN+6」を中国に容認させた成果は大きい。

第109回
日米首脳会談での野田首相のTPP「全品目が交渉対象」発言をめぐり、日米の認識の違いが問題になっている。ところが、奇妙なことに日本政府は、米国には訂正を求めないと明言した。一体なぜ、これほど日本政府は米国に弱腰なのか。

第108回
野田首相は、11月3日のG20首脳会議の場で消費税増税について、「2010年代半ばまでの10%引き上げ」を明言した。首相は、この発言が“国際公約”となることを願い、消費税増税が世界に公約した既定路線となることを狙ったのだ。

第107回
野田首相は、記者たちの「朝の声掛け」や「ぶら下がりインタビュー」に応じていない。だから首相が発信する機会が少ないと批判するメディアもある。しかし、私はそれを大きな理由だとは思っていない。

第106回
野田佳彦首相はTPP参加問題について、11月のAPECで、参加の方向で明確なメッセージを発出したい意向のようである。TPP参加推進派は、直ちに交渉に参加しなければ、日本経済は沈没するかのように焦っているが、本当にそうだろうか。

第105回
細川護煕元首相と河野洋平元衆議院議長が対談し、初めて1994年1月の政治改革法に関する2人の合意をテーマにして語った。今回の対談で両氏は、この制度が「政治劣化の一因」になったと悔いたが、なぜ今、失敗を認めたのだろうか。

第104回
野田佳彦政権が発足して1ヵ月が経った。気になるのは、このところ政治の舞台から無意識に目を逸らす人が多くなってきていることだ。菅前首相に関しては一挙手一投足が注目されたにもかかわらず、なぜ国民の政治的無関心が広がっているのか。

第103回
1993年9月、細川護煕首相は国連演説と初の日米首脳会談のためニューヨークへ向かった。今回の野田佳彦首相の外交日程と同じであったが、細川元首相と野田首相の初外遊には、大きな差が見られる。

第102回
細川護煕元首相が今までになく政治の前面に出てきている。その細川元首相は、民主党代表選前、野田首相にこう伝えたという。「増税を掲げるなら、厳しい行革を伴わないとだめだ」。この忠告は、自らの体験に基づいているだけに破格の説得力がある。

第101回
新閣僚の鉢呂吉雄経産相が、不適切な言動によりわずか9日で辞任に追い込まれ、枝野幸男前官房長官がその後任となった。代役に枝野幸男氏を起用したことは順当な人事だろう。枝野新経産相に特に期待したいことは3つある。

第100回
与党、内閣の人事が整って、野田政権の陣容が定まった。率直に言って「党強政弱」と言う印象が否めない。政府・内閣に比べて党の力が相対的にかなり強くなっていると感じられるのだ。

第99回
野田佳彦新首相が就任し、31日には新しい民主党の執行部が選任された。次の焦点は、組閣人事であり、特に注目すべきは政権の命運を握る官房長官と増税をめぐって今後より関心を集めることになる財務相人事だ。

第98回
民主党代表選挙は決戦投票で野田佳彦財務相が勝利し、民主党政権では3人目の首相に就任することになった。一時は急失速して圏外に去ったとさえ言われた野田氏がなぜ逆転して勝つに至ったのか。その勝因をいくつか挙げてみよう。

第97回
8月29日に実施予定の民主党代表選は、前原誠司前外相が独走する可能性が出てきた。前原氏が出馬表明で「挙党一致」を明言し、小沢系を排除しない姿勢を鮮明にしたからだ。しかし、彼が掲げる「挙党一致」は何を意味するのか。これが最大の疑問である。

第96回
政府は、経産省から原子力安全・保安院を分離し、新たに環境省の外局として「原子力安全庁」(仮称)を設置することを閣議決定した。私はこの新機構の担当相として、まもなく退陣する菅首相が相応しいと考えている。

第95回
退陣3条件の成立や事実上の民主党代表選開始などで、このところ政権をめぐる環境が急激に変化し、菅直人首相の進退は窮まったようである。いずれも菅首相にとって誤算とも言えるものだが、ここは何も言い訳をせず、退くことを期待したい。
