
上久保誠人
第191回
トランプ大統領による「アメリカファーストの嵐」が世界中に猛威を振るっている。米国はもう、「トランプ以前」の「世界の警察官」の頃には戻らない。米国が「世界の暴力団」となってしまった国際社会を、どう生き抜いていくかを考える。

第190回
安倍首相の三選が確実な情勢となり、唯一の対抗馬・石破氏は手も足も出ない状況だ。だが、本稿は「負け戦」を承知でそれでも総裁選を行い、党内議論を起こすことが大事だと、あえて安倍首相に対抗する立場をとる、石破氏と参院竹下派にエールを送りたい。

第189回
第二次安倍政権下で重要法案が成立するまでのパターンは、ほぼ同じことの繰り返しだったと言える。野党が法案の存在自体を全否定して「廃案」を求めたため、問題を抱えながらほぼ無修正で強行採決されて、国会を通ることになってしまったのだ。しかし、今国会では、新たな動きも見られた。

第188回
日本代表が予想を大きく裏切る大健闘を見せた理由は、既に専門家がさまざまに論じている。この連載は、4年に1回、W杯開催の時だけサッカーについて論じてきた。今回も、「西野ジャパン」のW杯での戦いを、専門家とは異なる観点からの「日本人論」としてみたい。

第187回
トランプ大統領が世界各国にイランからの原油輸入を11月までにゼロにするよう要求している。今回も、米国の要求に従う以外に日本の取るべき道はないが、短期的に難局を乗り切ることを考えるだけではなく、これを契機に日本のエネルギー安全保障政策全体を見直してみてはどうだろうか。

第186回
米朝首脳会談の結果、「米国には決して届かない短距離・中距離の核ミサイルが日本に向けてズラリと並んだ状態でとりあえずの問題解決とする」という状況が出現する。大騒ぎした割には何一つ決まらず、「落としどころ」は至って平凡で、日本にとっては最悪なものとなった。

第185回
「自称リベラル」こと「左派」の野党はもはや不要な存在だと。「左派」の野党の存在は、自民党をより頑なに「右傾化」させるだけである。それを穏健な「中道」に戻すには、実は自民党より右側に張り出した「極右政党」が必要なのではないだろうか。

第184回
米朝首脳会談が中止となったが、「アメリカファースト」のトランプ大統領は、北朝鮮が「米国を直接攻撃するICBMを持たない」ことで、既に欲しいものはすべて得ている。朝鮮半島の非核化は「オマケ」に過ぎず、首脳会談が中止になっても痛くもかゆくもない。

第183回
昨今の政治の不祥事は、首相官邸に何もかもが集中する混乱状態で起こっている。これを解決するには、首相の「権限」を縮小するのではなく、むしろ不備を補い強固なものにすることで、逆に首相に集中しすぎている「権力」を分散していくことだと考える。

第182回
希望の党、民進両党は、新党「国民民主党」の設立大会を開いた。国民民主党は、昨年の衆院選でバラバラになった旧民進党の再結集を目指すことになる。だが、その志とは裏腹に、「二度と再結集することは難しい」という現実を、改めて突きつけられたのではないだろうか。

第181回
北朝鮮のミサイル開発を巡る外交戦が急展開する中、日本が「置き去り」にされる懸念が次第に広がっている。だが、日米首脳会談では、ドナルド・トランプ米大統領が「拉致問題について最善を尽くす」と安倍晋三首相に約束した。拉致問題は米朝首脳会談でどう動くのか。

第180回
中朝首脳会談が実現し、南北首脳会談が決まり、米朝会談も開催に向けて動き出した。金委員長が、ロシアを訪問する可能性も浮上している。これらの動きを、日本は事前に何も知らされておらず、報道で知って右往左往したという。いつの間にか、日本だけが「蚊帳の外」に置かれかねない状況となった。

第179回
森友学園問題を国際社会に広がっている2つのリスク、「ナショナリズム」と「外国による国内政治への介入」に位置づけて、与野党の「潰し合い」の背景にある、より本質的な問題を考えてみたい。

第178回
森友問題で政治が混乱を極めている。この連載では、問題の「落としどころ」として、「財務省をスケープゴート」にすることだと指摘していた。だが、残念ながら、佐川長官の辞任はあまりに遅すぎて、「落としどころ」になりようがなくなった。

第177回
安倍政権が今国会の最重要法案と位置付けている「働き方改革関連法案」を巡り、国会が紛糾している。「裁量労働制」について首相が「一般労働者よりも労働時間が短いというデータもある」と答弁したが、根拠となった、厚労省提出の比較データが不適切だと判明し、首相が答弁を撤回し、謝罪する事態となった。

第176回
首相は昨夏以降、「謙虚な姿勢で政権運営に当たる」と繰り返し、野党側は首相の姿勢を「驕り」「傲慢」と非難し、「首相は謙虚になるべきだ」と主張し続けている。しかし、そもそもなぜ指導者は「謙虚」でなければならないか、考えてみたことはあるだろうか。

第175回
安倍首相の平昌五輪開会式出席・文大統領との首脳会談の開催には、既に様々な批判が出ているが、本稿は首相の決断に賛成する。それだけではなく、首相に韓国で「元慰安婦に直接会うこと」を提案する。それは、いつまでもズルズルと続いて終わることがない従軍慰安婦問題に、日本として「決着」をつけるためである。

第174回
希望の党と民進党が衆参両院で統一会派を結成することで正式な合意文書を交わしたが、調整は難航する可能性が高い。「寄り合い所帯」への国民の不信感は根強く、先の展望はない。野党が政権を奪取したいならば、「単なる数合わせ」を超えた、これまでと全く違う発想を持つべきだ。

第173回
トランプ米大統領が、エルサレムをイスラエルの首都として正式に承認すると宣言し、米国の外交政策の歴史的大転換を行った。本稿では、「宣言」は過激ではあるが、決して「自分ファースト」ではなく、「アメリカファースト」という米国の党派を超えた新しい国家戦略の枠内の決断だと考える。

第172回
森友学園では安倍昭恵首相夫人と佐川宣寿前財務省理財局長の証人喚問を求める野党側と、一連の経緯について「問題なし」として証人喚問も、財務省の関係者の処分も拒否し、早期に問題の幕引きを図りたい政府与党の攻防が全くかみ合っていない。政治家からもメディアからも、一切この問題の「落としどころ」が出てこないのだ。
