
上久保誠人
第231回
1月20日に通常国会が招集されたが、「安倍一強」と「野党の衰退」という構図は相変わらずだ。実は、日本でこうした情勢を招いた理由は、英国総選挙における保守党の大勝利と労働党の惨敗という結果に至った理由とよく似ている。英国の労働党が大惨敗した理由を分析すれば、日本の野党がダメな理由も見えてくるのだ。

第230回
米軍のイラン軍司令官殺害に端を発する衝突は、トランプ大統領の声明発表により、これ以上の武力行使の応酬にエスカレートする事態は回避できる見通しとなった。今回の事件から見えてくるのは、トランプ大統領の「アメリカファースト」に基づき、米国が「世界の警察官」役を降りた後の世界の在り方だ。

第229回
日本で「ヒト・モノ・カネ」不足の悪循環が進んでいる。それにもかかわらず、与野党ともに打つ手なしという状況に陥る日本の政治・社会システムは限界がきている。そこで、令和元年を締めくくるに当たって、日本の限界を超える「新しい国家像」を提示したい。

第228回
12月12日に行われた英国の総選挙で与党保守党が圧勝した。これで英国がEU離脱の早期実現に向けて動くことは確実となった。この情勢を受けて日本がすべきことは「日米英同盟」の結成に向けて働き掛けていくことだ。その理由を解説する。

第227回
11月24日、香港区議会(地方議会)選挙が実施され、民主派が452議席の約9割に達する390議席を獲得する歴史的な勝利を収めた。日本では過激化するデモ活動に対して「暴力はダメ」という言葉も聞かれたが、事ここに至った背景を理解することなしに、自由と民主主義を生まれながらに謳歌してきた人が、シンプルに「暴力はいけない」と言うのは、浅はかすぎると断ぜざるを得ない。

第226回
安倍晋三首相が国家予算を使って毎年開催してきた「桜を見る会」について、「税金の無駄遣い」や「公私混同」といった批判が噴出している。しかし、この問題の本質は別にある。一般的には「国民が政治を信頼していない」といわれるが、実は「政治家が国民を信頼していない」から、こうした問題が起きているのではないか、という点だ。

第225回
萩生田光一文部科学大臣の「身の丈発言」で延期に追い込まれた、大学入試への英語民間試験の導入。そんな今だからこそ、安易に英語の「話す力」を重視する教育方針に切り替えることに警鐘を鳴らしたい。大学が求める人材に必要な英語力は別だからだ。

第224回
英国と欧州連合(EU)が、EU離脱協定案で合意した。ところが、すぐさま英議会の反撃を受け、ジョンソン英首相はEUに離脱期限の延長を求めざるを得なくなった。混迷を極めているように映る英国のEU離脱問題だが、実は着実に進展していて、残す懸案はあと一つにまで絞られている。

第223回
10月1日、香港で再び大抗議デモが発生し、ついに警察がデモ隊に実弾を発砲。左胸に銃弾を受けた高校生は一時重体となった。急変した香港情勢から浮かび上がるのは、香港政府・中国だけでなく、抗議に参加している若者たち、そして日本の政治家まで全員が「残念」と思える構図だ。

第222回
本連載も含めて、世界中のメディアが撤回されたと報じた香港の「逃亡犯条例」改正案。しかし、そこにはあるカラクリが隠されており、世界中の思い込みとは裏腹に、突如として「条例改正案を可決した」という、驚きの事態が起こる可能性が高いのだ。

第221回
9月11日、安倍晋三首相が行った内閣改造・党役員人事から見えてきたのは首相の「勤続疲労」だ。「安定と挑戦」の人事を掲げたが、「安定」ばかりが目立つ。唯一の「挑戦」といえそうな小泉進次郎氏の環境相任命も、「客寄せパンダ」人事といえる。

第220回
香港で続く混乱の中で中国共産党は、世界に広めようとした中国式の権威主義体制が、実に無様なものだということを世界中にさらしてしまった。一度「自由」を知った人々が行動を始めると、権威主義体制はそれを抑えるすべを持たない。

第219回
日韓関係の悪化が止まらない。韓国・文在寅政権は、日韓で防衛秘密を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。今後、安倍政権はどう行動すべきか、韓国はさらにどう対抗してくるのか、百家争鳴となっている。その中で本稿は、いわゆる「国際世論戦」と呼ばれるものに焦点を当てたい。

第218回
世界を席巻しているポピュリズム政党が日本で台頭しない理由は、自民党が存在するからだ。右派・左派どちらの政策も包括し、野党の支持者を奪う自民党の強さは、これからの時代の議会制民主主義国における「新しい政党」のモデルとなるのではないか。

第217回
ボリス・ジョンソン新英首相の誕生によって、英国が欧州連合(EU)から「合意なき離脱」をする可能性が高まっているが、実際に起きたとしても、中長期的にみれば英国は経済力・政治力を保つことができるのではないか。そして、日本はその英国と今こそ関係を強化すべきだろう。

第216回
今回の参院選でも野党は壊滅状態で、とても政権交代を担える状況にない。「野党共闘」では自民党と戦える野党にはなれない。「政権交代可能な民主主義」が復活するか、「自民党政権と万年野党」の構図が続くかどうかの鍵は、野党の中では善戦した立憲民主党の枝野代表の次の一手が握っている。

第215回
日韓の争いは「貿易戦争」の様相を呈してきたが、安倍政権は文在寅政権を相手にするのではなく、韓国の国民に直接語り掛けてはどうか。徴用工問題が解決するに至った韓国政府との交渉過程を韓国の国民と国際世論に明らかにしていくのだ。

第214回
ロシア製通信アプリに「雨傘世代」の女神やカリスマとの共闘など、さまざまな面で進化した香港デモ。しかし、一枚岩ではない彼らが香港の民主化を勝ち取るためには、本格的な闘いのための目標が必要になってくる。

第213回
中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案をめぐって、香港で大規模な抗議デモが発生している。香港政府の背後にいる中国共産党は今回の失敗と誤算を教訓として、日本の自民党を研究してきた時代に戻り、少しずつ民主化を進めるという方針に戻るべきだ。

第212回
政治巧者・英国のEU離脱混迷は「不慣れな選挙」が理由だった
「議会制民主主義の本家本元」であり、歴史的に日本が政治の参考としてきた英国だが、欧州連合(EU)からの離脱をめぐって混迷を極めている。その理由は、EU離脱の是非を問う国民投票が、伝統的に英国で行われてきた「政策の成果を問う選挙」ではなく、「将来への期待を問う選挙」であったからだった。
