
上久保誠人
第211回
トランプ「世界戦略」の全貌がイラン制裁と米中摩擦で見えてきた
米国が世界の警察官をやめたといっても、いまだに世界最強の圧倒的な軍事力・経済力を誇っている。むしろ、「シェール革命」によって世界最大の産油国・産ガス国となり「過去最強」といえる。今、米国がさまざまな国に揺さぶりをかけているのは、米国がさまざまな国々との間の「適切な距離感」を再構築する取り組みである。

第210回
新しい時代が始まった。令和時代の日本はどうあるべきか、平成を振り返りながら考えてみたい。一言でいえば、平成とは「さまざまな社会問題に直面したが、なにをするにも海外から遅れて、海外の真似をして、中途半端に終わった」時代だったと考える。

第209回
沖縄3区、衆院大阪12区の補欠選挙が行われ、ともに自民党が敗北した。しかし、大阪、沖縄という「特別な地域」で勝利を収めたからといって、左派野党による「野党共闘」や維新の会にとって、参院選に向けて明るい展望が開けたわけではない。

第208回
大阪ダブル選挙で自公と共産が「共闘」できた深い理由
統一地方選の大阪ダブル選挙では維新が圧勝したが、国民にはわかりにくい「維新vs反維新」の対立構図が、単なる「権力闘争」「大衆迎合」とみなされかねないのは残念だ。実は、現代日本政治の本当の対立構図になりえるものだと思うからだ。

第207回
混迷の英EU離脱で「国民投票の再実施」が選択される可能性
英国のEU離脱を巡るカオスとしかいいようのない状況から、「民主主義の限界」を指摘する意見は多い。しかし、私には民主主義はいまだに、権威主義的な体制に比べ、圧倒的に優位性を示していると考えている。多くの人が批判する、カオスとしかいいようのない状況にこそ、民主主義の「凄み」があるからだ。

第206回
今回の首脳会談の結果は、意外でも何でもなく、むしろ当然だ。あらためて、トランプ大統領は「アメリカファースト」で行動するのだと、強く認識させられることになったと思う。

第205回
厚生労働省が公表してきた「毎月勤労統計」の不正が発覚し、国会で野党の追及が続いている。特に統計調査の手法変更に首相官邸の意向が影響したのかどうかが焦点だ。野党は「アベノミクス偽装」を執拗に追及しているが、これでは国民の支持を獲得することはできないだろう。

第204回
大阪府泉佐野市が、「ふるさと納税」の寄付をすると返礼品に加えて、Amazonギフト券を総額100億円プレゼントするというキャンペーンを展開している。これに対して、石田真敏総務相は「身勝手な考えだ」と切り捨て厳しく批判した。

第203回
米国が北朝鮮の「完全な非核化」に関心を持ち続ける理由は、それが最終的に「在韓米軍の撤退」につながるからだ。「在韓米軍の撤退」は一見、覇権国家・米国の衰退を示すようにみえるがそうではない。むしろ、アメリカファーストが目指す方向性と一致したものである。

第202回
「平成最後の年」が始まった。巷には、「平成という時代」を振り返る議論が溢れている。「平成は日本が悪くなった時代」という意見が多いようだが、本稿はこれらの議論と一線を画したい。平成は「日本が諸外国並みに普通の国になった時代」と考える。

第201回
2018年は、トランプ大統領の一挙手一投足に世界が振り回され続けた1年だった。そして、そこから見えてくるのは、米国が、従来の地政学的な枠組みでは説明できない、「新しい国際秩序」を着々と築いてきたということだ。

第200回
「改正出入国管理法」が参院本会議で可決。社会そのものを大きく変える可能性があり、その重要性は「安保法制」と変わらないが、安倍政権は新しい制度の詳細な設計は、関係省庁で法律成立後に行い、国会審議が必要ない「政省令」として定めるという。

第199回
日産のストーリーは「日本政府からも見捨てられていた会社が、外国のカネと経営者を受け入れ、技術力と勤勉さで立場を逆転し、外資を飲み込む世界屈指の企業グループを形成し、経営の主導権を取り戻した」という、「サクセスストーリー」として語られるべきであり、今後の日本企業と日本人が世界で生き残っていくための、1つの指針を与えている。

第198回
「離脱協定案」を交渉間レベルで暫定合意したEU離脱をめぐり、英国政治はまさに「カオス」と呼んでも過言でない状況だ。しかしこの状況からは、英国の成熟した「民主主義の凄み」が垣間見える。

第197回
出入国管理法改正による新制度導入で、なし崩しに外国人労働者が増えるどころか、日本国内の人手不足は埋まらない。外国の単純労働者にとって、日本は既に魅力ある働き場所ではないからだ。その意味で、この法案を巡る安倍政権の思惑も、それを批判する反対派も、どこかピントがずれている。

第196回
「沖縄県知事選」で、野党が推した玉城デニー氏が勝利したことで、野党は今、勢いに乗っているつもりのようだ。だが野党は、安倍・自民党に「国政選挙5連勝」を許した時と、実際はなにも変わっていない。

第195回
月刊誌『新潮45』が休刊したが、「人権問題」は実はそんなに難しく考える必要はないのではないかと、思う時がある。杉田議員ら、いささか「品格」を欠く発言をされた方々は、端的にいえば、LGBTなどの友人がいないのだろうなと思う。

第194回
安倍晋三首相は2日、内閣改造・党役員人事をを実施した。来年11月には歴代最長になるほどの長期政権となった安倍政権は、人事戦略でも進化を遂げたといえる。一言でいえば、「この道しかない人事」ということになるが、その隙のなさは、どこか危うさを感じさせる。

第193回
自民党総裁選が開票され、安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破って、連続3選を決めた。総裁選に圧勝して政権基盤を固め、アベノミクスや「やりたい政策」の実現に突き進む首相の目論見は、石破氏の予想外の大健闘で崩れる可能性が出てきた。

第192回
日朝関係・日露関係は膠着し、「アメリカファースト」の実態も次第に明らかになってきた。日本外交の先行きは問題山積という感じでだが、自民党総裁選の「連続3選」も確実な今、安倍首相は「歴史に名を残す」ような大戦略を、世界に打ち出してはいかがだろうか。
