姫田小夏
第23回
上海万博が、来年5月の開幕まであと1年に迫った。「話題性はあるが商機としては薄い」「盛り上がりがどれほどなのか予想できない」……。日本の大手企業数社に聞いても、上海万博への期待感が見えてこない。

第22回
上海市民の表情から翳りが薄れ、12月、1月のあの青色吐息が消えつつある。2月の上海証券取引所の取引高は2兆6363億元、前月比1.7%増とわずかに上昇傾向にあるのもその1つの要因だろう。

第21回
オバマ大統領の就任式でミシェル夫人が着用したニナ・リッチのカーディガン。なんとニット糸は山形県の佐藤繊維が製造した国産。世界に発信された映像がきっかけで、同社は今、引く手あまた。

第20回
「高島屋が中国進出」の見出しが2月24日の日経1面に踊った。1月の日本全国の百貨店の売上高は過去最大の9.1%減と発表された翌日だけに、ある種の期待感とともに紙面を覗き込んだ人も少なくないだろう。

第19回
2月といえば、日本では入試シーズンだ。中国は初夏にそのピークを迎えるが、受験戦争はこの世に生を受けた瞬間から始まっていると言っても過言ではない。

第18回
リーマンショックが中国在住の外国人にどれほどの影響をもたらしているのだろうか。居留許可を持つ外国人は上海だけでも13万3340人国際都市と言われる上海の、外国人をめぐる雇用の変化に注目した。

第17回
中国はこれから年を越す。しかし、多くの企業で年末のボーナス支給が「まるごとカット」される事態となっている。「どうすりゃ、年を越せるんだ」との不安が表面化している。

第16回
金融街として知られる上海市浦東新区、ここに林立するオフィスビルの第3四半期の賃料は7%に下落したとされている。そんな縮小ムードの中で、森ビルの101階建ての世界最高層ビルが10月に正式開業した。

第15回
留学生の数は多いものの、「中国のトップ大学から日本の大学にはほとんど留学生は来ない」と言われるようになった。賃金、出世、国際的ステイタス、どれをとっても日本留学からは展望が見えて来ないのだ。

第14回
中国ビジネスにおいては「あなたは特別」という気持ちを表現しなければならないシーンが多い。だが質素倹約と公平平等がDNAに深く刻み込まれた日本人にとって、中国人の喜びのツボを探し当てることは至難だ。

第13回
2000年以降、上海の住宅販売市場は右肩上がりで成長した。そして今般、金融危機による世界同時不況で上海の経済環境はガラリと変わった。失業による返済不能者も、これから続々と出現する可能性もある。

第12回
「下がるだけ下がれば、後は上がるだけ」――。 上海株価指数も1700ポイント台にまで下がった今、「底か」とばかりに証券会社で口座を開く上海人も少なくない。失望と希望が交錯し、上海市民の気持ちは揺れる。崔さん(仮名・40歳)もそのひとり。それを見て年老いた父親がこう言った。 「中国の場合、ゼロが底じゃない。“地下室”もあるから注意しなさいよ」 笑うに笑えないブラックジョーク。現に中国は今、好循環が一転して悪循環に振れ始めた。北京五輪までのあの勢いはどこへ行ったか、新聞紙面も恐ろしく暗い。「台湾企業が夜逃げ」「アディダス中国撤退」「自動車部品産業が打撃」など、ここ10年来見たことのないタイトルが踊るようになった。

第11回
中国の日系企業は2万社を超えたといわれるが、社長職(総経理)はたいていが日本人。経営を知る総経理はほんの一握り。たいていは、日本人総経理たちが見よう見真似で舵取りしていると言っても過言ではない。

第10回
伊勢丹の中国1号店が今年11月に店を閉める。採算が合わないというのが閉店の理由だ。現地紙「第一財経周刊」でも、「5年連続で売上は下降、来客数はどんどん少なくなり、知名度ある入居テナントも撤退、2007年は11年前の売上の70%でしかなくなった」と報道する。1993年に中国で初出店した「上海華亭伊勢丹」の上海15年の歴史を惜しむ声もある一方で、その撤退が送るメッセージを「上海マーケットへの認識の甘さでは」とする厳しい指摘もある。

第9回
今年9月外務省が発表した資料によれば、上海に長期滞在する日本人数は都市別で世界一に躍り出た。上海に来れば仕事もあるし、物価も安い。何より日本国籍ならそこそこ大きな顔をして生活できる――。だが、最近はちょっと様子が違う。「日本人」は以前のように「一目置かれる存在」ではなくなってしまった。上海市民も、以前は「優秀な日本製」=「優秀な日本人」と評価してきたが、実は日本人が現地企業のお荷物になっているケースもある。

第7回
中国東北部で日系製造業の新たな集積地を目指す動きが進んでいる。今ではすっかり神話と化した「中国の安価な労働力で輸出加工」だが、再び立ち上がる気配も。その実現のカギを握るのが日本海を横断する新航路だ。

第6回
北京市内に五輪ムードの高まりを感じさせないのは、Tシャツにしろ、帽子にしろ、それを身に着ける人口が少ないためでもある。皮肉にもニセモノの排除が成功したために、庶民の五輪消費を遠ざけた形だ。

第5回
中国人の誰もが五輪に賭けた。そして2度目の6000ポイントを夢想した。だが、8月1日の上海総合株価指数は2775ポイント。物価高騰を株で埋め合わせしてきた庶民の、その憤懣はどこに向かうのか。

第4回
北京五輪も前夜だというのに、どうも盛り上がりに欠ける。旅行会社は日本発の観戦ツアー販売に腐心、中国国内でもチケットを手放す動きもある。五輪特需を狙った観光産業も思惑違いに肝を冷やしている。

第3回
日本産のコメが昨年末と1月に中国に輸出された。07年7月に送り込まれた第1便が富裕層を中心に売れた手ごたえから、第2便は中国13の地方都市にばら撒かれた。だが半年経った今、売れ行きが鈍っている。
