真壁昭夫
米国の大手4社が日本に「4兆円」巨額投資、TSMC決算でわかった世界経済の「一大変化」とは?
      
      スマホからAIデータセンターへ――。半導体最大手TSMCの決算で明らかになったのは、世界経済のけん引役がシフトしたことだった。米オラクル、マイクロソフト、グーグル、AWSの4社が約4兆円もの対日データセンター投資を表明してもいる。この一大変化を見逃してはいけない。
      
    
信越化学56年ぶり国内工場建設とマイクロソフト4400億円投資に共通する狙いとは
      
      世界の化学メーカーの時価総額ランキングで第4位(2023年12月末時点)に位置する優良企業、信越化学工業が56年ぶりに国内工場を新設する。また、三井化学や富士フイルム、京セラなど国内で設備投資を積み増す大手企業が増えている。はたまた、米マイクロソフトは約4400億円の対日直接投資を行うと報じられた。これらに共通する狙いとは?
      
    
「食品値上げ」が6月に家計を直撃!インフレ経済の“深刻なデメリット”とは?
      
      4月、わが国の主要な食品メーカー195社は、2806品目の商品価格を引き上げた。7月までの価格改定予定を含むと、年間の平均値上げ率は19%にも達する。実は、6月に再び値上げを予定する企業も多く、その分野は対企業向けの資材から食品まで幅広い。円安の進行や原油価格の上昇リスクが増しているため、今後も国内企業による値上げは増えそうだ。
      
    
33年ぶり地価上昇で盛り上がる不動産市場に潜む「下落リスク」とは?
      
      公示地価が33年ぶりの上昇率となり、地価にも「脱デフレ」への期待が表れている。首都圏だけでなく特徴的な地方都市でも上昇トレンドは波及している。しかし、それだけで、日本経済が本格的な回復に向かうと論じるのは早計だ。4月8日、物価の変動を反映した2月の「実質賃金」が、前年同月比1.3%減で23カ月連続減少したと明らかになった。不動産価格の上昇はいつ一服するのか。
      
    
マイナス金利解除で住宅ローンはどうなる?「変動型」が大きく動かないワケ
      
      日本銀行が3月19日に下した決断は大きな転換点となったものの、当面は、日銀は緩和的な金融政策を続ける。短期間に見ると、私たちの生活に大きな影響が出る恐れは低い。一例として、変動型の住宅ローンの金利の指標は変化しなかった。今後を左右する最も重要なファクターは、国内外の物価情勢だ。
      
    
中国にEV墓場、テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角
      
      電気自動車(EV)大手である米テスラの株価が大幅に下落し、中国では「EV墓場」が出現している。対照的に、トヨタ自動車は、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか。
      
    
日産「下請法違反」で公取が勧告!そのタイミングが持つ“重大な意味”とは?
      
      2024年の春闘での賃上げは、昨年の実績を上回る可能性が高い。連合は、3月13日に集中回答日を迎えた今春闘の賃上げ率について、1991年以来33年ぶりに5%を超えたと明らかにした。その約1週間前に、公正取引委員会が、日産自動車に対して下請法違反の勧告をしたことは重要な意味を持つ。
      
    
“マイナス金利解除”はいつ?カギを握る「賃上げ」が弱まりそうな理由
      
      マイナス金利政策の解除について、「3月19日の金融政策決定会合」がキーポイントとなりそうだ。日本銀行が注目しているのは、賃金の引き上げ幅が食料品価格などの上昇ペースと同じ水準あるいはそれを上回るか否か。その意味で、今年の春闘は重要だ。ただし、中小企業の事業環境は依然として厳しく、「人手不足」倒産も増えている。また、中国や米国経済の先行き不透明感も無視できない。
      
    
ついに4万円突破!日経平均株価が大台に乗った意味と「続伸の条件」とは?
      
      3月4日、日経平均株価の終値が史上初めて4万円を超えた。主に海外投資家の積極的な日本株買いによって、株価だけは“失われた30年”の出口にたどり着きつつある。問題は、わが国の実体経済を前に進められるか否かだ。さらなる株価上昇に必要な取り組みとは?
      
    
TSMC熊本工場がついに始動!日本が「半導体のトップ」を狙うための理想の展開とは?
      
      半導体ファウンドリー世界最大手、台湾TSMCの熊本工場が完成し、2月24日に開所式が行われた。これに先立って第2工場の建設も発表していて、政府は総額1兆2000億円余りを支援する予定だ。今のところ日本は米独を上回るスピードでTSMCに対する支援策を実行している。期待したいのが、TSMCと日本のラピダスが切磋琢磨し世界最先端を競う展開だ。
      
    
「日本版アマゾン」が誕生?KDDI×ローソン×三菱商事TOBの“真の狙い”を考える
      
      コンビニ3位のローソンを、三菱商事とKDDIが共同経営する。KDDIは約5000億円を投じてローソン株式の50%を取得するわけだが、大金をはたいて今回の決断に至った理由は何か。3社連合が目指すのはほかでもない、“日本版アマゾンドットコム”だろう。
      
    
NTT「光半導体」が世界の電力不足を救う?iモード失敗の教訓を生かせるか
      
      NTTの「光半導体」事業が注目されている。生成AI強化のため世界中でデータセンター需要が急増する中、光半導体がデジタル化と省エネの切り札になるからだ。NTTは国内外の有力企業と連携を強化し、技術開発を急いでいる。その背景には、iモードの世界的な普及を実現できなかった大いなる反省があるだろう。
      
    
テスラ、営業利益「半減」の衝撃!中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々
      
      「イーロン・マスクCEOに8兆円の報酬は巨額すぎる」と、米テスラの株主が訴えている。係争の行方は横に置くとして、電気自動車(EV)市場は厳しい価格競争によりレッドオーシャンと化した。中国勢が低い生産コストを武器とする一方で、テスラはどんな壁にぶつかっているのか。
      
    
韓国が、日本の半導体復活に「待った」サムスンで世界トップ狙う尹政権の戦略で重大局面へ
      
      韓国政府が「K-半導体クラスター戦略」という世界最大規模の産業政策を発表した。その狙いは、韓国最大企業のサムスン電子を核に、半導体産業を世界トップに育てることにある。韓国の発表により、世界の半導体産業の地殻変動は新しい局面に入ったといえるだろう。わが国が半導体産業の復活を目指す上で、極めて重大な局面に差し掛かっている。
      
    
アップル「時価総額23兆円」が吹き飛んだのはなぜ?株価下落を招く“限界感”の正体
      
      米アップルに対して投資判断の引き下げが相次いだことで株価が下落し、同社の時価総額は2024年に入り一時、約1620億ドル(約23兆4000億円)減少した。一方でアップルは1月8日、新商品の「Vision Proを2月2日に発売する」と発表した。iPhoneに続く新しい製品を生みだし、ビジネスモデルを変えることができるか、投資家は厳しい目を向けつつある。巻き返しとなるだろうか。
      
    
「中国政府が救う神話」崩壊の衝撃!中国“影の銀行”が債務超過5兆円で破綻…波紋は?
      
      能登半島地震の発生とその報道で日本国内が動揺する一方、中国では史上最大級の破綻劇が起きていた。1月5日、中国のシャドーバンク(影の銀行)大手、中植企業集団が破産したのだ。ピーク時の運用資産が20兆円を超えた巨大企業は、不動産バブルの崩壊にのまれ、急激に経営が悪化。これまで“政府保証”を信じてきた国民心理や中国の株式市場は、不安定さを増している。
      
    
「マイクロソフトやオープンAIはタダ乗りしている」NYタイムズが提訴に踏み切ったワケ
      
      2024年も、生成AIの進化は加速するだろう。だが、学習データの“ただ乗り”をめぐって一大バトルが起きている。米ニューヨーク・タイムズが、マイクロソフトやオープンAIに対して「数百万もの記事を“違法利用”している」「損害は数十億ドル(数千億円)に達する」と訴えたのだ。AIの国際ルール策定の第一歩となるだろうか。
      
    
日本製鉄「USスチール2兆円買収」の成否が、日本企業の成長志向の鍵を握るワケ
      
      2024年は日本企業による大型買収がトレンドになるのだろうか? 23年末、日本製鉄が米USスチールを2兆円規模で買収するというビッグニュースが舞い込んだ。台頭する中国勢への対抗策として、米国企業と手をつなぐ意義は非常に大きい。先行きの不透明さはあるものの、買収が実を結び日本製鉄とUSスチールの事業運営の効率性が向上すれば、わが国企業の成長志向にも大きな変化をもたらすはずだ。
      
    
日本の「半導体産業」復活へ大チャンス到来!サムスンやTSMCが日本に投資する納得のワケ
      
      韓国サムスン電子が半導体の研究開発拠点を神奈川県横浜市に新設すると発表し、話題だ。先端半導体の製造技術を日本の企業や大学と共同開発するためで、400億円超を投じる計画。他方、北海道はラピダスの工場建設を機に道内の半導体関連出荷額を2033年に1兆1000億円まで引き上げるとの目標をまとめた。生成AIの登場や地政学リスクの高まりで世界の半導体競争は新たなステージに突入している。
      
    
中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し“ネガティブ”に
      
      12月5日に信用格付け大手ムーディーズが中国の国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落し、外国為替市場では人民元が売られた。当面、中国からの資金流出が加速しそうだ。今後は地方政府の財政破綻リスクが上昇し、雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。企業の業績悪化やデフレ経済も懸念されるが、それだけではない。中国は、わが国すらバブル崩壊後に経験しなかった事態に直面する恐れを抱える。
      
    