
真壁昭夫
止まらない超円安、潮目を変えられる「たった1人」の人物とは?
円安に歯止めがかからない。対ドル、ユーロはおろか、中国の人民元に対しても円は売られ、韓国のウォンに対しても円は軟調だった。インドネシアやタイ、マレーシア、フィリピン、チリ、トルコなど新興国通貨と比較しても円は弱含みで推移した。“円独歩安”状態で、政府・日銀は為替介入を繰り返すものの、その効果は限定的だ。ただし、米大統領選でトランプ氏が当選した場合、米国の為替政策が「ドル安重視」に傾く可能性はある。

富裕層と若者の国外脱出が止まらない中国、移住先に日本が選ばれる当然の理由
中国から脱出する国民が増えている。富裕層だけでなく、一般庶民も海外移住を志向する人が増えているようだ。中国は不動産バブル崩壊、若年層の雇用・所得環境の悪化をはじめデフレ経済が深刻化している。政府は補助金を支給し、安価な電気自動車や車載用バッテリー、太陽光パネル、鉄鋼などの生産を増やして景気回復を狙うが、過剰生産能力を膨張させる政策が持続できるとは考えづらい。また、政府がSNSや金融取引の監視を強化していることも、人々の不満が増える要因になっている。

エヌビディアCEOが30年前からGPUにこだわる理由、「先見の明」の裏にある意外な趣味とは?
AI分野で独り勝ちなのが、GPU(画像処理半導体)の企画・開発・設計を行う米エヌビディアだ。同社は、データセンター向け高性能AIチップの約9割のシェアを独占しているとみられる。エヌビディアの競争力の源泉は何か。独走は、いつまでも続くのか。

味の素にキユーピー…食品大手が「紙の伝票」と決別!競合との「データ連携」に踏み切るワケ
食品大手8社と卸売企業は物流データで連携する。伝票に書いていた情報を電子化し、データを複数企業が共同で管理するという。従来の商習慣を打破する画期的な動きだ。伝票主義の慣行は、トラックドライバーの長時間勤務の一因にもなっていた。中小の物流事業者では経営破綻も増えている。AI(人工知能)も活用した効率化に急ぎ全力で取り組まなければ、わが国の物流機能の維持はもう限界だ。

トヨタにホンダまで!自動車メーカーの経営が「コンプラ順守」を叫んでも、現場が結局「不正」を起こすワケ
主要自動車メーカーの全てで品質・認証の不正問題が起きている。各社の問題発生に共通するのは、技術に対する過信や審査に対する慣れなど心理の影響だ。現場の技術者は皆、審査の重要性を軽視したのだろう。そのため、経営者も「認証試験は現場の判断に任せて良い」といった経営判断が続いたとみられる。生産の現場から経営トップ層まで、現状の生産管理、認証の体制に不備はないという一種のバイアスが強まったと考えられる。また、人手不足で認証体制の強化に影響があったかもしれない。

住宅ローン金利が約13年ぶりに引き上げ!個人が身を守るために準備すべきこと
6月から、大手行やネット銀行は固定型の住宅ローン金利を引き上げた。3メガバンクの10年固定型の基準金利は3.89%(平均)、0.08%上昇する。これは約13年ぶりの水準だ。6月13~14日に予定する金融政策決定会合では、日銀が追加の利上げを実施するとの予想もある。金利上昇により企業の淘汰が加速し、倒産が増加する懸念は否めない。金利上昇リスクから自らの身を守るために、個々人が金利に対する発想を切り替えたいものだ。

ファーウェイ新スマホの背景に中国「7.4兆円」半導体ファンド、日本に残る“優位性”とは
5月末、中国が国策ファンドに約7.4兆円の資金を注入した。最先端の半導体チップ製造技術の開発などが狙いとみられる。振り返れば2023年夏、中国のファーウェイが発表した新型スマホ「Mate 60 Pro」に、回路線幅7ナノメートルのチップが搭載され、世界に衝撃が走った。米バイデン政権の対中制裁は、思うような効果を上げていない。24年秋にもファーウェイは新型スマホの発表を予定する。また、中国政府は車載用半導体の25%を国産品にするよう、自動車メーカーに指示している。米中の攻防戦に日本企業はどのような立場で臨めばいいのか。

AI向けデータセンターをつくる!で株価下落…投資家が見抜いた「シャープの根本的な病」
シャープが堺工場の稼働を停止し、データセンターへの転用を目指すという。しかし、その実効性は透明だ。液晶分野からの撤退は表明しなかった。中小型の液晶パネル事業でリストラを実行し、赤字の縮小を目指すという。まだシャープの先行きを懸念する声が多いのはなぜか。

「TOB合戦」に大手・佐川急便も参入!物流業界の「再編」が日本経済に不可欠なワケ
佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが同業のC&Fロジホールディングスの買収に乗り出す、と報道された。C&Fロジには、同じく同業のAZ-COM丸和ホールディングスが買収を目指してTOB(株式公開買い付け)をしている。また、5月には、日本郵便グループとセイノーグループが業務提携を発表してもいる。物流業界で再編機運が高まっているのはなぜか。

通貨危機級の円安は日本の “自業自得”、悪いのは日銀だけか?
ここまでの円安は、わが国の経済政策の“自業自得”といえるかもしれない。海外の一部の専門家からは、「通貨危機的円安」と言われる状況に陥っている。過度な円安を止めるには、いったいどうしたらいいのか。

「金」先物が2400ドル突破!中国・インドが爆買い「近い将来、4000ドルに上昇」強気予測も
4月19日、金の先物価格が1トロイオンス当たり2413.8ドルで引けた。1970年代以降の最高値を更新したのは、中国とインドの個人および中央銀行が買い増したからとみられる。今後、金の価格がさらに上昇する可能性はあるのだろうか?

米国の大手4社が日本に「4兆円」巨額投資、TSMC決算でわかった世界経済の「一大変化」とは?
スマホからAIデータセンターへ――。半導体最大手TSMCの決算で明らかになったのは、世界経済のけん引役がシフトしたことだった。米オラクル、マイクロソフト、グーグル、AWSの4社が約4兆円もの対日データセンター投資を表明してもいる。この一大変化を見逃してはいけない。

信越化学56年ぶり国内工場建設とマイクロソフト4400億円投資に共通する狙いとは
世界の化学メーカーの時価総額ランキングで第4位(2023年12月末時点)に位置する優良企業、信越化学工業が56年ぶりに国内工場を新設する。また、三井化学や富士フイルム、京セラなど国内で設備投資を積み増す大手企業が増えている。はたまた、米マイクロソフトは約4400億円の対日直接投資を行うと報じられた。これらに共通する狙いとは?

「食品値上げ」が6月に家計を直撃!インフレ経済の“深刻なデメリット”とは?
4月、わが国の主要な食品メーカー195社は、2806品目の商品価格を引き上げた。7月までの価格改定予定を含むと、年間の平均値上げ率は19%にも達する。実は、6月に再び値上げを予定する企業も多く、その分野は対企業向けの資材から食品まで幅広い。円安の進行や原油価格の上昇リスクが増しているため、今後も国内企業による値上げは増えそうだ。

33年ぶり地価上昇で盛り上がる不動産市場に潜む「下落リスク」とは?
公示地価が33年ぶりの上昇率となり、地価にも「脱デフレ」への期待が表れている。首都圏だけでなく特徴的な地方都市でも上昇トレンドは波及している。しかし、それだけで、日本経済が本格的な回復に向かうと論じるのは早計だ。4月8日、物価の変動を反映した2月の「実質賃金」が、前年同月比1.3%減で23カ月連続減少したと明らかになった。不動産価格の上昇はいつ一服するのか。

マイナス金利解除で住宅ローンはどうなる?「変動型」が大きく動かないワケ
日本銀行が3月19日に下した決断は大きな転換点となったものの、当面は、日銀は緩和的な金融政策を続ける。短期間に見ると、私たちの生活に大きな影響が出る恐れは低い。一例として、変動型の住宅ローンの金利の指標は変化しなかった。今後を左右する最も重要なファクターは、国内外の物価情勢だ。

中国にEV墓場、テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角
電気自動車(EV)大手である米テスラの株価が大幅に下落し、中国では「EV墓場」が出現している。対照的に、トヨタ自動車は、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか。

日産「下請法違反」で公取が勧告!そのタイミングが持つ“重大な意味”とは?
2024年の春闘での賃上げは、昨年の実績を上回る可能性が高い。連合は、3月13日に集中回答日を迎えた今春闘の賃上げ率について、1991年以来33年ぶりに5%を超えたと明らかにした。その約1週間前に、公正取引委員会が、日産自動車に対して下請法違反の勧告をしたことは重要な意味を持つ。

“マイナス金利解除”はいつ?カギを握る「賃上げ」が弱まりそうな理由
マイナス金利政策の解除について、「3月19日の金融政策決定会合」がキーポイントとなりそうだ。日本銀行が注目しているのは、賃金の引き上げ幅が食料品価格などの上昇ペースと同じ水準あるいはそれを上回るか否か。その意味で、今年の春闘は重要だ。ただし、中小企業の事業環境は依然として厳しく、「人手不足」倒産も増えている。また、中国や米国経済の先行き不透明感も無視できない。

ついに4万円突破!日経平均株価が大台に乗った意味と「続伸の条件」とは?
3月4日、日経平均株価の終値が史上初めて4万円を超えた。主に海外投資家の積極的な日本株買いによって、株価だけは“失われた30年”の出口にたどり着きつつある。問題は、わが国の実体経済を前に進められるか否かだ。さらなる株価上昇に必要な取り組みとは?
