井手ゆきえ
第222回
逃げ場のない辛い耳鳴りに診療GLでは認知行動療法を推奨
古代メソポタミア文明の記録にもある「耳鳴り」。紀元前の昔から研究されているが、いまだに「難治」の病である。医学の父、ヒポクラテス(紀元前460~370年頃)の仮説では、「頭蓋内の微細血管の拍動が、頭蓋内に反響すること」が原因。

第221回
血液検査でうつ病を検出 光トポグラフィーは保険適用
大うつ病やそううつ病などの気分障害は、客観的診断法が未だ確立されていない分野。唯一、MRIで脳の血流量の変化を調べ、うつ病か否かを診断する「光トポグラフィー検査」は、今年4月から健康保険が適用されている。

第220回
座りっぱなしの弊害は喫煙に匹敵?1時間につき5分、歩くこと
先進国の住民は「座る人」である。仕事は座職、車で移動、家でも外でも座りっぱなし。近年は「too much sitting:座り過ぎ」がもたらす健康リスクに関する議論が増えている。余暇のテレビ視聴による「座位時間」が1日2時間未満の成人を基準にした場合、2~4時間未満、4時間以上と座位時間が増えるにつれて総死亡リスクが11%ずつ上昇するという。

第219回
AB型は認知障害になりやすい?血液ドロドロ因子が関係か
血液型と疾病リスクに関する研究が進んでいる。少しでも早く、脳卒中や心血管疾患など重大な病気の予防に努めようということだろう。なにせ、生まれた時にリスクが分かるのだから。

第218回
デング熱ってどんな病気?解熱剤はアセトアミノフェンを
この稿が出る頃には下火になっていることを願う「デング熱」。ネッタイシマカやヒトスジシマカに媒介される「デングウイルス」による感染症だ。国立感染症研究所のホームページ、関連文献から情報を紹介しよう。

第217回
お米だって、健康にいい!良質な睡眠をサポート
糖質制限食の認知度があがるにつれて何かと旗色が悪いお米。というより、米に代表される高GI食品群全般にいえるのだが。

第216回
仕事依存症の診断テスト 4項目以上なら可能性大
議論中の日本型新裁量労働制──いわゆる「残業時間ゼロ法案」は一定以上の年収の社員について、本人の同意を得て時間規制対象外とするもの。労働時間を自己裁量できる点は魅力だが、有形無形の圧力で本意ではない社員が無償の長時間労働を強いられる危険性が指摘されている。

第215回
RUN! RUN! RUN! 1日5分のランで寿命延長
一般にランニングなどの有酸素運動の健康効果を得るには、毎回15~30分は必要、とされている。ところが、1日5~10分でも心疾患を予防し、寿命を延ばす効果が期待できるようだ。

第214回
記憶力より歩行速度が鍵?新しい認知症診断テスト
世界17カ国の約2万7000人を対象にした調査の解析によると、歩行速度と記憶力の簡単なテストで将来の認知症発症リスクが診断できるようだ。

第213回
シェイクハンドよりグータッチ 細菌暴露リスクが1割に
真面目な研究です。先日、米国感染症関連専門誌に英国の大学からの興味深い報告が掲載された。“グータッチ”は握手やハイファイブ(手のひらを頭の高さでパチンと打ち合わせる挨拶)より、細菌やバクテリア感染の拡大を9割軽減できるらしい。

第212回
長時間のサイクリングは危険?前立腺がんの発症リスクに
自転車ブームといわれて久しい。流行は別として、都市部・地方を問わず便利な生活の足であることは間違いない。ただし、乗り過ぎは禁物のようだ。先月、英ロンドン大学の研究グループから男性機能とサイクリングに関する調査報告が出された。

第211回
年寄りの冷や水?中高年のヘッドバンギング
真夏のロックフェスも一巡し、往年のロック小僧たちも一息ついているだろうか。身過ぎ世過ぎに汲々としている若年層より、可処分所得に余裕がある中高年層をターゲットにしたエンターテインメントが盛り上がっているのは世界的傾向で、ついに世界五大医学誌の「ランセット」にまで「オヤジとロック」に関連する症例報告が掲載された。

第210回
「幸せ」より「感謝の心」 小利を捨て大利を得るには
国や宗教は違っても、人類が共通して尊んできたのは「感謝の心」だ。社会的な関係の潤滑油として発達してきたのだろうが、もっと個人的な行動に関係していることが解ってきた。米「サイコロジカル・サイエンス」誌に掲載された感謝の心と自制心についての試験結果から。

第209回
夜間の血圧変動幅がリスク 24時間自由行動下で計測を
血圧の基準値に関する議論が続いている。冷静に考えると、ピンポイント測定で健康・不健康を判断するには無理があった、ということだろう。だいたい血圧という代物は、1日中変動している。一般的には夜間が一番低く、起床前から起床後に上昇。さらに夕方から夜にかけて低下というリズム(日内変動)を刻む。

第208回
タバコはふかすか、吸い込むか 吸い方一つで肺がんリスクが上昇
愛煙家の皆さま、たばこの吸い方一つで肺がんの発症リスクが大きく変わるようです。愛知県がんセンター研究所の福本紘一氏らの研究報告から。福本氏らは、生検で新たに肺がんと診断された患者群653人と、ほかの病気で通院中の453人、地域住民828人を対象に、たばこの吸い方と肺がんの発症について比較検討した。

第207回
牛乳でアルツハイマーを予防 和食にプラスで発症リスクが低下
福岡市に隣接する久山町では、1961年から住民の全面協力で、病気と生活習慣の関連を調べる「久山町研究」が行われ、日本人の健康管理に貴重なデータを提供いただいている。

第206回
世界の3人に1人は肥満 現代文明の宿痾に白旗?
もはや「病気」と見なされるようになった肥満。先日、英医学誌「ランセット」に全世界の成人人口(20歳以上)の3人に1人、およそ21億人が肥満という衝撃的な調査結果が載った。世界の成人男性の過体重の割合は、80年には28.8%だったのに対し、13年には36.9%へ、女性は同じく29.8%から38.0%へ上昇したことが判明したのである。

第205回
薔薇の香りでより魅力的に…でも、高齢者はより高齢に?
古来、薔薇の香りほど人々を魅了してきた匂いはないだろう。世の権力者、女性たちはその力を自らのものにすべく薔薇の香りを好んでまとってきた。先日、独立系・非営利の味覚・臭覚に関する基礎研究を行っている米国モネルセンターから、ユニークな報告が出された。

第204回
乳がん女性はカロリー制限を 転移を抑制する効果あり!?
国立がん研究センターの推計によれば、日本人女性の14人に1人が乳がんになるという。以前は40代後半が発症のピークとされていたが、近年は20~30代の発症が増えている。早期発見・治療に努めたいがん種の筆頭だ。

第203回
レスベラトロール効果無し?長寿作用はすでに疑問符
赤ワインやチョコレートに含まれる「身体に良い成分」といえば、ポリフェノール。中でもレスベラトロールは、心血管疾患発症のリスクを減らし、寿命を延ばす成分として人気が高い。ところが、米ジョンズ・ホプキンス大学の医師が「効果に疑問あり」との調査結果を発表した。
