内田和成
第30回
家電業界では1990年代の中頃に、一部の商品について建値制からオープン価格制への移行がみられた。今回は、寡占的な生産者、または地域市場で価格支配力を持つ小売業者のどちらが小売価格を設定するか? この選択に影響を与える要因について検討してみよう。

第29回
他プレイヤー(企業、消費者)が提供する製品・サービス・情報と一緒になって、初めて価値を持つ製品・サービスをプラットフォーム製品・サービス(PF)という。PFは1社の一人勝ちになりやすい。連載第1回目は、PFの一人勝ち( Winner take all)のメカニズムについて考えてみよう。

第28回
組織の中にある無力感を払拭し、企業変革を進めていくにはどうしたらよいか。それに成功したローソンのケースを通じて、企業変革をリードするリーダーの具体的な行動とは何かを考えてみる。

第27回
終身雇用制度を採用している組織の弱点は、「環境対応力」が弱い点にある。私の現段階の研究として、どうすれば対応力を高められるかについて明確な答えはないが、研究途中として言えるのは、「ハイブリッド型」組織の実現にトライすることが一つの方向である。

第26回
今や多くの耐久財がレンタルされている。その一方で、販売されてもいる。メーカーにとっては、果たしてどちらが得なのだろうか。一部の耐久消費財がレンタルされている理由を検討してみよう。

第25回
名経営者の発言録を読むと、時にそれは従業員に矛盾した行動原則を求めている。この矛盾とその止揚という観点から、変革とその変革を担う従業員の適切な行動を引き出すインセンティブの組み合わせを考えてみよう。

第24回
フランチャイズ制で加盟店が本部に納めるロイヤルティの算定方式には粗利益ロイヤルティと売上高ロイヤルティがある。セブン-イレブンやローソンが採用しているのは前者。それは一体なぜか。その理由を解き明かしてみよう。

第23回
企業経営のために集めたおカネが、社内の業務活動の様々な段階でどのような姿になっているかを把握するのがモニタリング。そのモニタリングは個々の仕事の領域が明確であることを前提にしている。領域が不明瞭な仕事の進め方が主流の日本企業で、モニタリングを有効に機能させる方法を考えてみよう。

第22回
正社員の削減と非正規労働者の増加が、幾つかの新しい問題を生み出しつつある。その最適な組み合わせを考える時に役立つのが、「人材アーキテクチャ」である。それは人材のコア・コンピタンスに対する貢献と人材の企業特殊性という2軸から導き出される

第21回
携帯やポータルサイトのサービス向上が、既存業界に意図せざる戦いを強いている。同様のケースはいま非常に増えている。では、予想外のライバルとどう戦ったらよいのか。同じ土俵に乗れば敗北は必至である。

第20回
中華料理店に行くと、ラーメンと餃子が組み合わされたセットメニューに出くわす。単品だけ、セットだけ、単品とセットの組み合わせを比較して、お店の利益を最大にする価格を考えてみよう。

第19回
東日本大震災からの復旧・復興が遅いとの批判が渦巻いている。しかし、日本の組織の特徴を考えると、今回が特殊なわけではなく「そのようなもの」なのである。大切なことは「そのようなもの」であることを自覚して、対策を工夫することだ。

第18回
バブル崩壊、業績低迷の元凶と批判された日本の人事部はいまだに動揺を続けている。日本企業の組織特性を考えたとき、人事部に求められているものは何なのだろうか。それは人材マネジメント型企業変革リーダーとしての資質である。

第17回
楽天トラベルが国内旅行取扱高で第2位に躍進した。海外ではHISの台頭が著しい。こうした新興の旅行代理店は自ら競争のルールを変えることで、旧勢力を凌駕することに成功したのだ。ルールが変わったことに気がつかないと、ライバル企業は痛い目に遭う。

第16回
十分に差別化された財を生産する企業を想定した上で、何人の流通業者に販売を委ねるかについて検討してみよう。フランチャイズ料を徴収できるか否か、販売量が流通業者の数に依存するか否か、流通業者による費用削減投資が重要か否かによって、望ましい流通業者の数は変わってくる。

第15回
ビジネススクールの教室で話をしていると、30歳代の人たちから、いまの若い人たちは「自分から動かない」という声を耳にする。それは本当だろうか。動機づけの低下を「いまの若い人は」と、世代論でひと括りに判断してしまうのは危険である。

第14回
人事異動がパフォーマンスに結び付くメカニズムとはどのようなものか。日本では隣接分野への異動が多いが、非連続的な異動その拡張といえる転職でも、人は素晴らしいパフォーマンスを上げることがある。その要因、背景を探ってみよう。

第13回
もしあなたが震災時の国や企業のリーダーなら、数多くの課題に直面するだろう。重要なことは正しい課題を発見すること。その際、残念ながら、教科書的な正解、すなわち分析したり論理的に考えると誰もが同じ結論にたどり着くような、公式はない。論点は自分で考えなければならない。

第12回
現在では、生産者が直接、消費者に製品を販売することは稀である。生産者と小売業者の間には多様な取引形態があるが、前者が後者をコントロールしようとするとき、生産者、小売業者、消費者にどのよう影響が出るのかを検証してみよう。

第11回
終身雇用の下では、人々はどうしても「金太郎アメ」になりがちである。そのことが、創造性や革新性の発揮が求められる場面では弊害となる。その壁を打ち破るのが「討議力」だが、終身雇用の下で討議力を組織に取り込む方法を考えてみよう。
