2015.5.29
軽減税率は戦後史上最悪の「経済愚策」である
消費税10%時における軽減税率について、3案が与党税制協議会から公表された。今後、軽減税率議論は生鮮食料品を軸に議論が進んでいくだろうが、その区分けを見ると首をひねらざるを得ないものもある。軽減税率は戦後史上最悪の「経済愚策」である…
東京財団政策研究所研究主幹
(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
2015.5.29
消費税10%時における軽減税率について、3案が与党税制協議会から公表された。今後、軽減税率議論は生鮮食料品を軸に議論が進んでいくだろうが、その区分けを見ると首をひねらざるを得ないものもある。軽減税率は戦後史上最悪の「経済愚策」である…
2015.5.14
連休明けから与党税制協議会で、消費税軽減税率の議論が再開する。筆者はこれまで軽減税率の導入を問題視してきたが、その1つに租税回避商品を増やしかねないという理由がある。具体的なケースを踏まえて、議論しよう。
2015.4.17
ピケティ氏の問題提起をきっかけに、資産にまつわる税制が議論されている。日本の代表的な資産税である相続税と固定資産税を取り上げ、課税根拠と課題を考える。相続税の性格を「所得課税の補完」と考えることは是か非か。
2015.3.26
ピケティは、富を再生産し格差拡大につながる資産が問題だとして、資産課税の強化、純資産への累進課税の導入を提言している。これは、現在ある財産税・富裕税と似た概念だ。資産そのものへの課税強化は、現実的な選択肢だろうか。
2015.3.12
世界で比較すると、わが国は再分配前は格差の少ない国だが、再分配後は格差が大きい国となっており、所得再分配機能の再構築は重要な政策課題だ。トマ・ピケティ氏の議論を念頭に置きつつ、わが国の高所得者の実態を見ながら税負担の問題を考えてみ…
2015.2.23
ピケティの来日を契機に、日本でも所得格差・資産格差が問題となっている。わが国の格差の実態とそれに対する政策について、2回に分けて論じてみたい。筆者は、日本の税制が格差拡大を許していることに課題を感じている。
2015.2.3
消費再増税延期をデフレ脱却のためとする一方、2020年のPB黒字化は守るとする安倍首相。しかしここにきて出始めた、PB黒字化のみならず債務残高GDP比などの新たな経済指標を加えて複合的に見るという議論は、大いに警戒すべきだ。
2015.1.9
昨年12月30日に与党税制改正大綱が決定された。今回の税制改正議論で、これまでと最大の違いは、主導権が党税調から官邸へと移ったということだ。このことはわが国の統治機構上望ましいことだが、一抹の不安を感じるのはなぜだろうか。
2014.12.19
総選挙では自民党が圧勝。が、投票率に表れているように、それは決してアベノミクス経済運営への賛辞ではない。必要なことは、アベノミクスの副作用やリスクをミニマイズしていく経済政策を、着実に実行していくことだ。
2014.12.11
自民・公明の与党が選挙公約に消費税の軽減税率をあげている。しかし、軽減税率は逆進性対策・低所得者対策の効果は薄い。減税になるからということで選挙公約に掲げるのは、究極のポピュリズム政治だ。
2014.12.8
安倍首相は消費増税先送りの記者会見で「税制こそ議会制民主主義」と語ったが、総選挙では税制のあり方が、全く問われていない。「代表なくして課税なし」と言うのなら、本来問われるべきは、一国の税制のあり方である。
2014.11.17
消費税率の10%への引き上げを延期するかどうかが大きな政治問題と化している。仮に延期したとすれば、それはアベノミクスの失敗の始まりである。
2014.10.29
突然アベノミクスの正念場がやってきた。第1の矢も第2の矢も「想定外」の事態が生じ、安倍政権の経済政策は袋小路に入りつつある。ここで消費税率引き上げの先延ばしを行えば、国際投資家に付け入るスキを与えてしまう。
2014.10.17
現在、わが国の法人税率を引き下げるには、地方税である法人事業税・外形標準課税を拡充すべきという議論が行われている。一方この税に対しては、批判も多い。これをどう考えるかが、今回の法人税議論の評価につながる。
2014.10.10
多国籍企業の租税回避を防止することは、税の公平性を確保するだけでなく、企業の競争条件の公平化を図る上でも極めて重要なので、国民はもっと関心を持つ必要がある。では、そもそも国際的租税回避とは何か。問題の本質とは?
2014.9.24
米国政府や議会は多国籍企業の行き過ぎた租税回避行動に対して、法規制を導入しようとしている。わが国の高い法人税率は引き下げざるを得ないが、そうであるからこそ、行き過ぎた租税回避には厳しく対応する必要がある。
2014.9.2
消費税率10%への引き上げに向けて「軽減税率」が議論されているが、低所得者対策の議論は不十分。「給付付き税額控除」について何ら議論していないからだ。そこで軽減税率、給付付き税額控除の効果を比べてみた。
2014.8.20
消費税率引き上げの景気への影響が懸念されている。だが、重要なことは、その先にある経済・社会の姿を、社会保障・税一体改革の原点にさかのぼって考えてみることだ。その思いから、家計ごとの受益と負担の関係を試算してみた。
2014.7.18
サッポロビールの「極ZERO(ゴクゼロ)」が酒類の分類を変えて再発売されることになった。背景にはビール税制の複雑さがある。こうした事態を避け、安くておいしいビールを飲むためにビール税制を簡素化すべきだ。
2014.7.8
規制改革会議や政府税調で「公益法人課税等の見直し」が取り上げられ、重い腰がやっと上がった。税については平成20年の公益法人制度改革で放置された問題だけに、公平性を高める法人税改革の一環としてぜひ実現をすべきだ。
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