
森信茂樹
第58回
安倍政権は消費税率3%の引き上げのうち、2%分を経済対策で還元するという。大盤振る舞いの背景には、公共事業拡大をなどをもくろむ古い自民党が見え隠れする。これでは消費税増税の趣旨とぶつり市場のしっぺ返しを受ける。

第57回
消費税率引き上げの有識者ヒアリングは、ほとんど意味のない政治パフォーマンスだ。本来行うべきは、安倍総理が国民に引き上げの説明を丁寧に行うこと。怖いのは、その後の安易なばらまき財政政策を容認せざるを得なくなることだ。

第56回
麻生財務大臣は、「赤字法人の割合が70%を超す状況では、減税しても効果がない」旨の発言をされている。しかし、わが国法人の赤字比率が高い最大の原因は、その大部分を占める同族会社の「タックスプラニング」にある。

第55回
6月に成立した「価格表示特別法」によって、2014年4月から17年3月末までの間の特例として、消費税額を含まない価格表示(税抜き表示)が認められる。しかし、税抜表示と総額表示の併存は、消費者を混乱させる可能性が高い。

第54回
今回の参院選でねじれは解消した。次なる課題は、ねじれを解消して何をやるか。まず直面する課題は、秋口の、来年4月の消費税率引き上げの判断と、抜本的な法人税減税へのコミット。この2つが最大の試金石だ。

第53回
富裕層の海外移住事例は増え続けている。狙いの一つは租税回避。税逃れを防ぐための「出国税」を検討する時期が来た。

第52回
安倍総理は、成長戦略として秋口にも設備投資減税を決定する意向を示した。しかし、わが国経済に必要なことは、小手先の投資減税でなく、地方税も巻き込んだ法人税改革のはずで、これがアベノミクス成長戦略の一丁目一番地だ。

第51回
英国のスターバックスで話題になっていた租税回避問題はアマゾン、グーグル、アップルにも飛び火した。彼らはどのようにして租税を回避するのか。それを防ぐ方法はあるのだろうか。

第50回
異次元金融緩和に潜むリスクがジワリと顕在化しつつある。リスクを大きくしないためには、「出口戦略」が重要だ。その中核をなすのは、政府の財政再建に向けてのコミットメントである。このことの認識を政府がしっかり持つことがリスク軽減に役立つ。

第49回
国民一人ひとりに番号を振る「マイナンバー」法案が衆議院を通過し導入される見込みとなった。社会保障など6分野で活用される見込みだが、ここでは国民の関心が高い税務調査においてどこまで活用すべきかを考えてみよう。

第48回
消費税率の引き上げを1年後に控え、政府は様々な規制を検討している。買いたたきや転嫁拒否行為の禁止は当然だかが、価格表示まで規制するのは、事業者の創意工夫を抑制し、消費者利益を損なうことになりかねない。

第47回
英国のキャメロン首相は、スタバ英国法人支払う法人税額が少ないことに激怒した。だが、こうした多国籍企業の租税回避措置はいまのところ合法。税収不足悩む先進国政府は今夏のサミットでこの問題を取り上げる。

第46回
この4月から導入される予定の「教育資金贈与税非課税措置」が盛り上がっている。金融機関はビジネスチャンスをうかがう一方、教育費の定義や、どうしたらきちんと徴収できるかを決めておかないと、混乱は必至だ。

第45回
私は旧大蔵省時代に「焼酎・ウイスキー税制格差問題」で、WTOおよび日米交渉を経験した。そこで痛感したことは貿易交渉は法律論議ということ。だからTPP交渉にあたっては、優秀な渉外弁護士の全面的な支援を求めるべきだ。

第44回
今回の税制改正議論で最後までもめた案件に、消費税の軽減税率導入がある。もし軽減税率を導入するなら、インボイス制度は絶対に欠かせない。その理由を述べてみよう。

第43回
「アベノミクス税制改正」は、公平と活力のバランスに配慮した内容となっている点は評価できる。だが、今後の課題は、法人税改革と所得税改革であり、負担の構造を変える税制改革こそが究極の成長戦略となる。

第42回
今から30年前は働く女性の比率が高い国の出生率や低かった。今や多くの先進国で働く比率の高い国の方が出生率が高い。女性労働と子育てを両立させるため、配偶者控除を廃止し、その財源を子育て支援に回したらどうか。

第41回
市場は安倍新政権の経済政策を「アベノミクス」とはやし、大いに評価している。だが、気になるのは「政策の目線の高さ」。成長志向と財政健全化をどう両立させるのか。世界の投資家が見ている。

第40回
政策を実現するには、その中身とともに政策実現能力が問われる。その本質は、既得権益・利害団体とどう切り結び、官僚組織をどう使いこなすのか、ということである。各政党に問われる政策実現能力について考えてみよう。

第39回
いよいよ総選挙が始まる。今回の選挙は2つのことを見極めることが重要だ。第1がそれぞれの政党の主張する政策の本質であり、第2が主張を実現させていく政策遂行能力だ。今回は経済財政政策を中心に検討してみたい。
