2014.6.24
時代に合わなくなった現行の配偶者控除は廃止 移転的基礎控除を基に「家族控除」の導入を――森信茂樹・中央大学法科大学院教授・東京財団上席研究員
配偶者控除は就労調整や税の公平性の観点から問題がある。かわりに「夫婦それぞれが基礎控除を持ち、妻が使いきれない場合には夫が使える」という移転的基礎控除という考え方を、「家族控除」として導入すべきだ。
東京財団政策研究所研究主幹
(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
2014.6.24
配偶者控除は就労調整や税の公平性の観点から問題がある。かわりに「夫婦それぞれが基礎控除を持ち、妻が使いきれない場合には夫が使える」という移転的基礎控除という考え方を、「家族控除」として導入すべきだ。
2014.6.17
軽減税率の適用範囲と減収額の8つのケースが与党税制協議会から公表された。年末に向けて具体的な議論が始まる。しかし、実際には軽減税率は低所得者対策ではなく、食料支出額の多い高所得者を優遇する制度である。
2014.6.2
法人税改革の議論が、経済財政諮問会議、自民、政府税調それぞれの場で白熱している。6月末に予定されている「骨太の方針」にどう記述されるかが関心事だ。年末の決着に向けて、今後どのように議論を展開すべきか考えてみた。
2014.5.14
新聞報道によると、財務省は7日、軽減税率を飲食料品に導入した場合の減収額を8つのケースについて公表した。今後自民党・公明党の税制協議会で具体案を議論するという。軽減税率について筆者はこれまでたびたびこの欄でも取り上げてきた。
2014.4.28
消費税率が引き上げられたが、「益税」の問題がマスコミなどで取り上げられる機会がめっきり少なくなった。しかし「益税」を生む制度は残っており、その金額も増加する。このままでは消費税制度に対する信頼が低下する。
2014.4.7
改めてわが国消費税制度の課題を整理してみたい。欧州諸国ではインボイス制度があることにより、価格改定が比較的スムーズに行われ、駆け込み購入やその反動という問題があるにせよ、経済を揺るがすような規模ではない。
2014.3.12
女子の勤労を促進するというなら、配偶者控除の改組は避けられない。女子の就労を妨げている「103万円の壁」をとっぱらうには、移転的基礎控除を「家族控除(仮称)」として導入することである。
2014.2.21
米国経済は、80年代から90年代にかけて、既存の重厚長大産業からIT産業への新陳代謝を遂げた。その要因として、レーガン2期の法人税率引き下げとクリントン時代のパススルー事業体LLCの活用があった。
2014.1.31
安倍総理はダボス会議で法人税改革の実行を公約したが、実現に向けての道筋は簡単ではない。なぜなら、経済界・自民党税調・財務省というトライアングルがこれを阻んでいるからだ。これを突き破る論理と実行力が試される。
2014.1.16
米系多国籍企業の租税回避がG8やG20で取り上げられ、大きな問題となっている。実はこの問題は、米国の知財戦略と深く結び付いており、対応は簡単ではない。しかし放置しておけば、日本企業は競争上大きな不利をこうむる。
2013.12.24
平成26年度税制改革が決定したが、理念や方向感のない税制のオンパレードだ。法人税実効税率の引き下げは、「引き続き検討を進める」と先送り、一方で、大企業の交際費の損金算入など世の中の方向感覚とは逆行している。
2013.12.11
自民党と公明党の税制協議会で、軽減税率の議論が真っ盛りだ。公明党は、インボイスなき軽減税率の導入を主張している。しかし、インボイスなき軽減税率は、「益税」を拡大し批判を招き、日本の消費税の信頼を損なう恐れがある。
2013.11.28
税制優遇付きの私的年金制度(日本版IRA)の検討が始まった。わが国金融資産1600兆円の活性化を通じ日本経済の成長を促す狙いだ。検討の「きも」は税制である。どのような税制が望ましいかを検討してみよう。
2013.11.13
消費税率引上げ決定後、残された最大課題は軽減税率の是非だ。党大綱では12月の来年度税制改正の中で決めるとされいる。軽減税率にはインボイスが必須となるが、インボイスが出せない免税事業者は取引から排除されかねない。
2013.10.25
消費税率引き上げ決定後、残された最大課題は軽減税率の是非だ。党大綱では12月の来年度税制改正の中で決めるとされいる。軽減税率にはインボイスが必須となるが、インボイスが出せない免税事業者は取引から排除されかねない。
2013.10.2
法人税減税はなぜもめるのか。財政目標を軽視する安倍政権と旧来型の税制志向の自民党税調、財源偏重の財務省という3者の利害の相違が原因である。解決策は「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことしかない。
2013.9.20
安倍政権は消費税率3%の引き上げのうち、2%分を経済対策で還元するという。大盤振る舞いの背景には、公共事業拡大をなどをもくろむ古い自民党が見え隠れする。これでは消費税増税の趣旨とぶつり市場のしっぺ返しを受ける。
2013.8.28
消費税率引き上げの有識者ヒアリングは、ほとんど意味のない政治パフォーマンスだ。本来行うべきは、安倍総理が国民に引き上げの説明を丁寧に行うこと。怖いのは、その後の安易なばらまき財政政策を容認せざるを得なくなることだ。
2013.8.23
麻生財務大臣は、「赤字法人の割合が70%を超す状況では、減税しても効果がない」旨の発言をされている。しかし、わが国法人の赤字比率が高い最大の原因は、その大部分を占める同族会社の「タックスプラニング」にある。
2013.8.7
6月に成立した「価格表示特別法」によって、2014年4月から17年3月末までの間の特例として、消費税額を含まない価格表示(税抜き表示)が認められる。しかし、税抜表示と総額表示の併存は、消費者を混乱させる可能性が高い。
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