窪田順生
NHKから国民を守る党が厳しい世論にさらされている。しかし、彼らの主張を見れば真っ当なものも多く、むしろテレビを持っている全世帯から強制的に受信料を徴収しておきながら、高齢者からしか支持されていないNHKの歪んだビジネスモデルにこそ問題がある。
      
    
夏の高校野球予選で、肘に違和感を感じたエースの登板を回避した大船渡高校に抗議の電話が殺到した。相変わらず、「無理を押してでも頑張れ」という根性信仰とでもいうべき異常な価値観が蔓延しているのだ。ブラック企業にもよく見られるこの「信仰」のせいで、今なお大勢の若者が心身を壊し、時に命まで落としているというのに。
      
    
フジテレビの「バイキング」が露骨な吉本擁護をしたことが話題になっている。一連の不祥事の源流をたどると、吉本興業自身が、反社会勢力企業がスポンサーに名を連ねるイベントにタレントを派遣したことが発端だ。これを踏まえると、吉本経営陣がなぜ、芸人の記者会見を頑なに拒んだのか、その真相が見えてくる。
      
    
石垣島のラーメン店が「日本人客お断り」という張り紙を掲げて、ネット上で大騒ぎになっている。外国人ならともかく、なぜマナーの良いはずの日本人客を…。そんな感想を持つ人も少なくないだろうが、観光地でも外食産業や介護産業でも、日本人客のマナーの悪さに悩む声は少なくないのが真実である。
      
    
参院選で珍しく、与野党で一致している稀有な政策が「最低賃金の引き上げ」。しかし、韓国では最低賃金を大幅に引き上げたところ、失業率が悪化したと報道されている。「日本も韓国の二の舞になる」と心配する意見も少なくないが、両国の事情はかなり違う。この心配は杞憂に終わるのではないだろうか。
      
    
「愛があれば」「やりすぎでなければ」、という前提付きで体罰やパワハラを認める日本人は、実は非常に多い。子供を持つ親はもちろん、テレビのコメンテーターやMCでさえ、堂々とこうした自説を述べる。つまり、日本はそれほどに「愛ある暴力」信仰が染み付いている国であり、これが変わらない限り、パワハラはなくならないだろう。
      
    
創業214年の老舗くず餅屋が快進撃を続けている。この10年で経常利益は6倍。従業員180人の会社には就職希望の新卒学生が1万7000人も押し寄せる。成長のきっかけは、かつては社員と衝突してばかりだったという8代目社長の「リーダーをやめる」という決断にあった。
      
    
会社を揺るがすほどの不祥事に発展したレオパレス問題に次いで大和ハウスも、と不祥事が続発している。強引な営業が問題になっている大東建託もそうだが、人口減少という抗えない時代の変化に対して、「根性」と「頑張り」で立ち向かおうとする、時代錯誤の経営哲学が背景にあるのではないだろうか。
      
    
「老後に公的年金以外に2000万円が必要」と書かれた金融庁の報告書が大炎上している。しかし、そもそも「年金だけで老後は安泰ではない」ことは30年以上も前から常識だったはず。一体いつの間に、「年金だけで死ぬまで安心」と信じる日本人が増えたのか?過去をたどると、小泉政権時代の「年金100年安心プラン」に行きつく。
      
    
引きこもりを巡る殺人事件が連続して起きて、にわかに注目されている「8050問題」。これまでも「自立支援」の名目で支援の手は差し伸べられてきたが、全国の中高年引きこもりの数は約61万人。とてもではないが、草の根の支援体制でどうにかできる人数ではない。それよりも、目指すべきは「親亡き後も、安心して引きこもれる体制」づくりではないか。
      
    
川崎市で起きた通り魔事件に関して、「死にたいなら他人に迷惑をかけずに1人で死ね」という意見と、「そういう批判が次なる犯罪のトリガーになる」と諌める意見が出て論争になっている。しかし、事件記者として凶悪犯罪者と多数話をしてきた経験から言うと、犯罪者に安易に共感することも、彼らの恨みを爆発させる危険な行為である。
      
    
ZOZOがバイトの時給を1300円に引き上げて話題となっている。「正社員を増やさないのか」という批判の声も上がっているが、日本の正社員は社畜の集まりでもある。歴史をひも解けば、なぜ正社員=社畜なのか、その原点が垣間見える。
      
    
トヨタ社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言をしたことが、ネット上で大騒動になっている。若い世代ほど「終身雇用」への憧れを持っているのだ。しかし、実際には企業が終身雇用を放棄した方が、日本人の賃金は上がる。
      
    
5月8日、滋賀県大津市でまたもや保育園児の列にクルマが突っ込み、園児2人が死亡するという痛ましい事故が起きた。ただ歩道を歩いているだけの人が次々にクルマにはねられるという現実の裏には、歩行者軽視の交通政策がある。
      
    
過度な部活の見直しが進んでいない。背景には、「休まず頑張る」ことが人間にとって何よりも大切だという、信仰にも近い思い込みがある。教育現場でこの信仰を身につけた人は、社会に出ても心身が悲鳴をあげるまで働いてしまう。ブラック部活こそが、日本企業に蔓延するパワハラや、頑張りすぎを生み出しているのだ。
      
    
ローソンやファミリーマートに「24時間営業見直し」のムードが広まっている中、頑なに24時間営業継続の道を進んでいるセブン-イレブン経営陣。日本企業、ひいては旧日本軍にも蔓延していた「撤退できぬ病」に冒されているのではないだろうか。
      
    
再逮捕されたゴーン氏の新たな悪事の証拠は「高級船舶」――。かつてクーデターで日産から追われた塩路天皇事件にますますソックリな展開になってきた。裁判を待つまでもなく、次々に「日産関係者」や「検察関係者」からリークされる「ベタベタの悪事」情報によって、ゴーン氏はすっかり“クロ認定”された格好だ。
      
    
新元号「令和」が発表され、お祝いムードに沸く中、海外メディアからは「日本の右傾化を表している」と言われ、国内からも「命令に従って和めという安倍独裁だ」との声が上がっている。
      
    
セブン-イレブン・ジャパンの時短営業実験に注目が集まっている。確かに実証実験をする企業姿勢は真っ当だが、コンビニオーナーの疲弊ぶりの原因をよく考えてみると、肝心のポイントに関する考察が抜けていないか?これではまるで、NGT48の“お手盛り”記者会見にも似た構図である。
      
    
消えた留学生問題が大騒ぎになっている。しかし、日本政府が外国人労働者を受け入れ始めれば、さらに多くの外国人が「消える」ことになるのは間違いない。そもそも、日本人もいやがる低賃金労働を「外国人ならやってくれるはず」という思い込みは間違っている。なぜなら、彼らが日本に来る動機は間違いなく「お金」だからだ。
      
    