
武藤正敏
世界が注目する中、4月28日に行われた「南北首脳会談」。北朝鮮が大幅に譲歩したこともあって、韓国人も一定の評価をしている。しかし、「完全な非核化」に向けた道のりはまだ遠い。

4月6日、「金正恩朝鮮労働党委員長が、中国の習近平国家主席との会談で6ヵ国協議の再開を提案した」と報じられた。金正恩委員長の狙い、そして今後の展開について、元駐韓大使の武藤正敏氏に分析してもらった。

3月23日、韓国の李明博元大統領が、収賄、背任、脱税、職権乱用などの容疑で逮捕された。李元大統領はその直前、「政治報復だ」と現政権を批判したが、逮捕劇の背景には果たして何があったのか。元駐韓大使の武藤正敏氏が解説する。

3月5日から6日にかけて、韓国の文在寅大統領の特使5人が北朝鮮を訪問、金正恩・朝鮮労働党委員長と会談した。そこでは南北首脳会談の実施などが合意されたが、北朝鮮は変わったのか。元駐韓大使の武藤正敏氏が分析する。

2月9日に幕を開けた平昌オリンピックは、平和なスポーツの祭典という本来の趣旨から外れ、北朝鮮の「偽装平和攻勢」と、これを無条件に歓迎する韓国の文在寅大統領の「政治ショー」に"ハイジャック"された観がある。

南北朝鮮は、1月9日の閣僚級会談で「平昌オリンピックに北朝鮮が参加する」ことで合意した。しかしその交渉は、弱腰の韓国が北朝鮮にうまく利用されただけだとして、韓国世論の支持率も急激に下りはじめている。

1月9日、韓国の康京和外交部長官は、その直属の慰安婦合意検証チームの結果を踏まえ、日韓合意に関する新方針を発表した。しかしこれは、日韓合意を反故にする内容だった。元在韓大使の武藤正敏は、「韓国よ、日本人は怒っている」と嘆く。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「新年の辞」で、平昌五輪への代表団派遣に言及する一方、米国を威嚇する発言をするなど揺さぶりをかけてきた。これに対し、韓国はすぐさま歓迎の意向を示すなど、日米韓の足並みが乱れている。

大統領就任から6ヵ月を迎えた韓国の文在寅大統領。支持率は一時、過去最高の84%となっている。しかし、その政権運営を詳細に見ていくと危うさが見え隠れしており、元在韓大使の武藤正敏氏は「来年は大きな岐路に立たされる」と指摘する。

解決の方向性さえ見当がついていない北朝鮮の核ミサイル開発問題だが、2018年はその方向性を決定づける"鍵"となる年であろう。そこで元駐韓大使の武藤正敏氏に、4つのシナリオに基づいて検証してもらった。

北朝鮮が11月28日、ICBMを発射したことを受け、米国が海上遮断の強化に乗り出している。これに対し韓国の大手新聞は、北朝鮮船が逃避行動を取ったりした場合に、偶発的な軍事行動につながる可能性があるとの懸念を強めている。

11月5日から、日本、韓国、中国を相次いで訪問、APECやASEAN首脳会議にも出席した米トランプ大統領。アジア歴訪の最大の狙いは、中国の取り込みだった。しかし、結果を見る限り中国は姿勢を変えておらず、失敗したと言えそうだ。

膠着状態を続けてきた北朝鮮問題が、徐々に動き出す可能性が出てきた。中国の共産党大会が始まること、そして米トランプ大統領が日中韓を訪れることが明らかになったからだ。とはいえ、最悪のシナリオも想定し、備えておく必要もある。

トランプ大統領は北朝鮮の金正恩氏を「ロケットマン」と強烈に批判した。それに対し金正恩氏も猛反発、緊張が高まっている。にもかかわらず、韓国の文在寅大統領は融和政策に戻っている印象で、危機的状況を緩和させるどころか、深刻化を招く。

核実験や日本上空を通過するミサイルを発射するなど、北朝鮮の挑発行動はエスカレートするばかりで、いよいよ最終局面に入った。対する国際社会は制裁を強め、金正恩を対話に引きずり出そうとしているが、応じないだろう。国内にもある事情を抱えているからだ。

北朝鮮は、8月29日朝、平壌郊外の順安(スナン)地域から北東方向に弾道ミサイル1発を発射した。北朝鮮に対しては、挑発行動が続く中で制裁を強化してきたが、中国の消極的な協力姿勢もあって、韓国の文在政権誕生後も9回ミサイルを発射するなど、挑発を繰り返している。9月9日の建国記念日には6回目の核実験を行うのではないかとの懸念もくすぶっている。

日本の植民地支配からの解放記念日、8月15日の「光復節」式典での大統領演説は、時の韓国大統領の「対日姿勢」を端的に表すもの。文在寅大統領は、そこで都合のいい「ツートラック政策」を展開したのである。

7月28日深夜、北朝鮮は慈江道・舞坪里(ジャガンドウ・ムピョンリ)から弾道ミサイルを発射、日本の排他的経済水域内に落下した。これにより、韓国の文在寅大統領が進める北朝鮮への融和政策が失敗であることが明らかになった。

7月7~8日にドイツ・ハンブルグで開かれたG20。首脳会談や個別会談における文在寅・韓国大統領の発言を通じて見えてきたのは、「北朝鮮問題で主導的な役割を果たしたい」との狙いだった。

6月30日、米国を訪れていた韓国の文在寅大統領は、トランプ大統領と首脳会談を行った。表面上は穏やかに見えた会談だったが、両国間の問題はなんら解決せず対立が先送りされただけだ。原因は、文大統領の政治的な信念にあった。
