
武藤正敏
北朝鮮は6月16日、開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を爆破し、さらに四大軍事行動をとると予告していたが、23日、金正恩朝鮮労働党委員長が出席する中央軍事委員会予備会議で、軍事行動の「保留」を決定した。この決定の背景に何があったのか、今後どう出てくるか考えてみたい。

6月16日午後、北朝鮮が開城にある南北共同連絡所を爆破した。連絡事務所の破壊は南北関係の清算を意味することを覚悟しなければならない。今回分かったことは、北朝鮮の軍事的挑発が決してブラフでないことということだ。

韓国文在寅政権率いる与党「共に民主党」は、4月15日に投開票された国会議員総選挙で大勝利を収めた。文政権に残された任期は2年半、権力がピークとなった今が、文政権の目指す政策遂行の最も良い機会である。そうした状況下で、文政権がいかに対応しようとしているのか検証してみたい。

元慰安婦の支援団体である正義記憶連帯(韓国挺身隊問題対策協議会〈挺対協〉の後継団体)前理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)氏をめぐる不正疑惑は、検察当局が正義連のソウルの事務所に家宅捜索に入るなど、新たな展開が見えてきた。

日韓関係を複雑なものにしてきた大きな要因の一つである慰安婦問題。この慰安婦問題が、韓国国内で国を揺るがす大問題に発展している。元慰安婦のグループで中心的役割を果たしてきた活動家の李容洙(イ・ヨンス)氏が、尹美香(ユン・ミヒャン)前理事長について、「政治的・個人的目的のために慰安婦を利用してきた」と告発したのだ。

北朝鮮の金正恩氏が20日間にわたって消息不明となっていたことは、周辺諸国に北朝鮮が有事となった際にどのような事態が起こるのかを考える貴重な機会になった。日本は具体的にどのような備えをするべきなのだろうか。

韓国では4月15日に総選挙が行われ、文在寅大統領の支持母体である与党「共に民主党」は小選挙区で253議席中163議席を獲得した。一方、野党の「未来統合党」は84議席にとどまった。改めて選挙戦を振り返ってみるとともに、今後の展望について日韓関係を中心に予測してみたい。

韓国は3月26日、来る4月15日に行われる選挙の公示を行い、4月2日から公式に選挙運動が始まった。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行している中で選挙を行うことは、一部の韓国国民の政治に参画する権利を奪うことにもなりうる。それでも文大統領が選挙を行うのは、韓国国内で新型コロナウイルス感染症拡大がひと段落している今が、新型コロナ対応における初動の失敗から国民の目を逸らし、支持率を上げて、選挙に臨むのに最善だと判断したのであろう。

韓国では4月15日に国会議員選挙が予定されている。あえて「予定」と明記したのは、新型コロナウイルス感染症の影響で、延期になる可能性も排除できないからだ。今回の選挙は、過去の選挙よりも韓国の国情を大きく左右する、非常に重要な意味があるものだ。そこで今回、その理由と背景および今後の韓国の内政、経済、外交に与える影響について数回に分けて解説したい。

韓国の文在寅大統領は新型コロナウィルス対策においても、同盟国である日米ではなく、レッドチームである中朝に寄り添っている。国内の苦境打開に集中するのではなく、北朝鮮を支援することに情熱を燃やし、日本政府による韓国からの入国制限に対しては直ちに反発。同様の措置で報復した韓国で新型コロナが流行する原因は、元を辿れば中国であったことを忘れているとしか思えない。

韓国文政権の寿命に新型肺炎「失策」で赤信号、元駐韓大使が解説
文在寅政権にとって、今年は成し遂げなければならない2つの重要な課題があった。それは、北朝鮮との関係改善をよりいっそう進めること、4月15日に行われる国会議員選挙に勝利し、左派長期政権の基盤を固めることだ。しかし、新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)のまん延によって、この2つには赤信号がともってしまった。

文在寅大統領の年頭記者会見での発言や康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の米国ポンぺオ国務長官との会談内容、国家安全保障会議(NSC)の動き、盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長の発言などから分析すると、レッドチーム入りが間近であると思わせる動きがここ数日相次いでいる。

文在寅大統領が2019年に実行した政策を振り返ってみると、残りの任期である2年半の間に、文大統領が韓国をどこに導こうとしているのか全く見通せないばかりか、隣国である日本の安全保障や、アジア経済に重大な悪影響を及ぼす危険性を高めていると思わざるを得ない。

韓国の文在寅大統領は22日夕方、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄するとした決定を、土壇場になって効力停止すると決断。数カ月間のドタバタの末、協定は終了せず、効力維持ということになった。

韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の期限が23日午前0時に迫っている。米国は、韓国に対しGSOMIA破棄を撤回させようと韓国政府に働きかけているが、韓国大統領官邸の青瓦台は一歩も引くそぶりを見せていない。韓国はこのままGSOMIA破棄に向かうのか。その場合の影響はどうなるのか検証する。

10月14日、韓国の曺国法務部長官は一連のスキャンダルが原因となって国論が二分されたのを受け、辞任した。同氏をかばい切れなかった文在寅政権の弱さを見せつけることになり、同時にスキャンダルが一層深刻化。曺国氏を法務部長官に任命した当時恐れていた二つの側面が同時に出現することになり、文政権にとって最悪のシナリオとなってしまった。

文在寅大統領にとって、今週の国連総会出席は極めて重要だった。それは国内世論対策のために米朝関係を進展させる必要があり、そのための貴重な外交の機会だったからだ。しかし、結果的にめぼしい成果は得られなかった。

9日、文在寅大統領は、曺国(チョ・グク)氏を法務部長官に任命した。一部では、曺国氏の法務部長官任命反対デモも発生したが、現時点で、曺国氏は法務部長官としての仕事を開始した。そして、直ちに反撃に打って出ている。

8月22日、韓国の文在寅政権は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決定した。理性的に考えれば、韓国のGSOMIA破棄は韓国の安全保障にとって大きな損失であり、韓国国民を含め、多くの人がそれはないと考えていたが、現実のものとなってしまった。

日本政府は2日、韓国を輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」のリストから除外する決定を行った。これに危機感を覚えた韓国政府はこの数週間、あらゆる手段を使って、この決定を阻止しようとしていた。韓国の典型的な外交交渉とはどういうものか、これを受け日本はこの問題にどう対応していくべきか考察してみたい。
