
安井明彦
ウクライナ危機では対ロシアへの「弱腰」批判があるバイデン大統領だが、秋の中間選挙をにらんで求心力の回復につなげるためにも、欧州などとの同盟関係重視を掲げ期待された手堅い手腕の発揮どころだ。

コロナ感染拡大がピークを越えた米国で民主党の州知事がマスク着用義務を緩和する動きが広がる。徹底したコロナ対策を掲げるバイデン政権には中間選挙を前に軌道修正に追われている。

コロナ禍、学校閉鎖をめぐる保護者と教職員組合の対立が中間選挙を巡る思惑から政治問題化し始めた。共和党は、組合弱体化やバイデン政権への揺さぶりを図る。根本にある教員不足の解消は、後ろに追いやられている。

大統領選再出馬を狙うトランプ氏の陣営が、各州の州務長官選へ介入し、選管や投票所への関与を支持者に呼び掛けるなど、選挙運営自体に影響力を行使しようとしている。米国の民主主義を脅かしかねない問題だ。

来年の中間選挙を前に、共和党が優勢に立つ州でワクチン義務化阻止や区割り変更で攻勢を強めている。バイデン政権は、州を舞台にした共和党への対応という新たな難題を抱えた形だ。

来年の中間選挙を占うバージニア州知事選は民主党候補が予想外の苦戦だが、共和党側も複雑な事情を抱える。復活を狙うトランプ前大統領が候補者の応援で自らが主役のように振る舞っているからだ。

バイデン大統領の支持率低下は就任当初の期待の上振れがはげた面があるが、大統領の実務能力に対する信頼喪失にまでにならないのかなど来秋の中間選挙に向けて気になる兆候がある。

バイデン政権の目玉、インフラ投資法案が上院を通過したが、その陰には失業保険未使用分や将来の税収増を財源に入れ、「財政赤字ゼロ」に見せた予算ルール無視のカラクリがある。

米国のコロナ感染再拡大の背景には、共和党支持者がバイデン政権への不信からワクチン接種を忌避し接種が伸び悩んでいることがある。大統領選の分断はコロナ問題にまで影を落とす。

コロナ禍からの回復とともにバイデン政権の「大きな政府」への求心力に陰りが見える。代わりに対中強硬路線を前面に党内結束や共和党との調整を図る構えだが、「中国カード」は切り札になるのか。

バイデン政権の2022年度予算教書は「米国雇用プラン」などを盛り込み、コロナ禍後、米国が「大きな政府」に変容することを示す。だが選挙公約の年金や医療の改革は抜け落ち、全体像は見えない。

米国では、二大政党の意見が分かれる社会的な争点において、企業が旗色を鮮明にする事例が増えている。移民問題や人種格差などの論点では、民主党に近い態度を表明する場合が目立ち、これまで親密だった共和党との関係が微妙になっているのだ。背景には何があるのか。

米国のバイデン政権が、巨額の追加経済対策成立の勢いに乗り、インフラ対策などの公約実現に歩みを進めようとしている。危機を背景にした世論の団結を「大きな政府」への求心力として維持できるかが、バイデン政権にとっての勝負となる。行方には何が待っているのか。

バイデン政権の経済政策のキーワードとして浮上してきたのが、「人種間の公平」だ。黒人やヒスパニックの苦境を、これまでの政策などによって積み上げられてきた歴史的・構造的な問題として捉えている。しかし、構造的な格差への取り組みは、人種間の対立を激化させるリスクもはらむ。

トランプ大統領支持者による連邦議会議事堂占拠事件の衝撃が冷めやらぬ米国で、いよいよバイデン新政権が誕生する。民主主義の象徴である議事堂で犠牲者が出るほどの熾烈な分断の中、超党派による政策運営は実現するのか。そこで試されるのが、バイデン氏の「鈍感力」である。

米国では、次期大統領に就任予定のジョー・バイデン氏が、新政権の人事を次々と発表している。浮かび上がってきたのは、女性や黒人など多様性への配慮を強調しつつ、要所に米国の行政・政治を知り尽くしたインサイダーを配した布陣だ。この人事には、思わぬ落とし穴がありそうだ。

民主党のバイデン氏が大統領選挙の勝利演説を行った。劇的な勝利ではあるが、大統領・議会選挙双方での圧勝が予測されていた下馬評と比べれば、期待外れの感もある。果たしてバイデン氏は、どのような「勝利」を収めたのだろうか。その成果と限界を、冷静に見極めよう。

終盤戦に入った米国の大統領選挙では、民主党のバイデン氏のリードが続いている。バイデン氏の公約については増税の悪影響が懸念されるほか、投開票の混乱や党派対立の深刻化も予想され、不透明感が強まっている。政権交代が起きたときに見えて来る、本当のリスクとは何か。

民主党の全国党大会を経て、バイデン氏が大統領選の大統領候補に正式に指名される。これに先立ちバイデン氏は、ハリス氏を副大統領候補に選出し、11月の本選挙への体制を整えた。遅れに遅れた副大統領選出の経緯から、「バイデン政権」の姿を占う手がかりを読み解く。

米国大統領選挙で、トランプ大統領の苦境が深まっている。ジョー・バイデン氏への政権交代が実現すれば、米国の対中政策も変化を迎えるだろう。果たして、米国第一主義は変わるのか。政権交代によって生まれる新しい米中関係が、同盟国にどのような影響を与えるのかを考えてみる。
