
安井明彦
第10回
米国の議会中間選挙まで3ヵ月を切った。上下両院で多数党となる共和党は、下院で多数党陥落の危機にある。劣勢の一因はトランプ大統領への批判だ。大統領自ら共和党議員の支援に乗り出すが、それは共和党にとって危うい賭けだ。

第9回
同盟国を敵に回したG7首脳会談、北朝鮮との歴史的な首脳会談、高関税の脅しをかける中国との通商戦争など、トランプ外交が世界を翻弄している。その背景には、20世紀初頭の共和党への先祖返りと支持者の変質が見える。

第8回
米国では、トランプ政権の方針に州政府が反旗を翻すことが多い。州政府の独自性は米国の特色だが、連邦政府との行き過ぎた対立は、ビジネス界の悩みのタネだ。スポーツ賭博解禁を取り巻く状況が、それを象徴している。

第7回
2020年度に米国の財政赤字が1兆ドルを超えるという衝撃の予測が、米議会予算局(CBO)から発表された。CBOは「大統領の抵抗勢力」として完全中立の立場をとるため、政界からの風当たりは強い。その姿勢を貫けるか。

第6回
米国で財政赤字が止まらない。それなのに、政権を握る共和党はこれまでの「小さな政府」路線を転換せざるを得ない状況に追い込まれている。支持者が高齢化しているからだ。一方、これまで高齢者層に従ってきた若年層には、“反乱”の兆しも見えてきた。

第5回
米国のドナルド・トランプ政権の通商政策について、「11月の中間選挙を前に、支持者向けに保護主義色を強めるのではないか」との懸念が広がっている。しかし、中間選挙への影響だけを考えれば、トランプ政権にとって保護主義は得策ではない。本当に心配すべきなのは、中間選挙への影響を度外視して、トランプ政権が保護主義に突き進む時だ。

第4回
トランプ米大統領の就任から1年が過ぎた。人騒がせな言動とは裏腹に、米国経済は堅調に推移している。規制緩和や税制改革等の成果はあるが、好調な株式市場が危うい政策の防波堤となっている。

第3回
米国で、本来であれば目立たないはずの補欠選挙が、にわかに注目を集めている。12月12日に投票が行われるアラバマ州の上院補欠選挙には、米国政治が抱える論点が凝縮されているからだ。その行方は、税制改革の行方等にも影響を与えそうだ。

第2回
財政赤字が拡大基調に転じた米国で、さらに赤字を増やすような税制改革の議論が進んでいる。財政赤字を問題視する機運は、なぜ高まらないのだろうか。

第1回
トランプ大統領の攻撃的な発言に注目が集まり、政策の調整の難航、格差や移民問題も根深い米国。本連載はシンクタンクの調査員として長年米国に駐在し、同時多発テロや金融危機、オバマ政権の誕生等も経験した著者が今の米国の経済・政治を読み解くためのキーワードを解説し、歴史的な視点も交えて掘り下げていく。

ドナルド・トランプ大統領の就任後初となる日米首脳会談は、日本にとって申し分のない結果となった。もっとも、過去の貿易摩擦の記憶に囚われるあまり、日米二国間の通商関係だけに執心するべきではない。今後の駆け引きには2つの視点が必要となる。

トランプ旋風が吹き荒れる米国の大統領選挙。どのような結果になろうとも、世界経済そして日本は新しい大統領と向き合わなければならない。トランプ政権となった場合には何がリスクなのか。クリントン政権が誕生すれば安心なのか。
