松野友美
前田建設が前田道路に敵対的TOB、「親子ゲンカ」の裏に物言う株主の影
準大手ゼネコンである前田建設がグループ傘下で道路舗装業などを手掛ける道路大手の前田道路に対して、前田道路株式の51%取得を上限に公開買い付け(TOB)を始めた。前田道路はこれに反対を表明している。2社の攻防戦の裏に、有利子負債がなくキャッシュリッチな企業を狙うアクティビストの影がちらついている。

新国立競技場は「地図」に残るだけでなく「予算」も残る仕事だった
デザイン変更や短い工期といった問題を乗り越えて11月末に完成した新国立競技場。一時、建設費が3462億円に上る試算が出ていたものの、結局予算内に着地した。会場を歩くと費用のかけどころの「メリハリ」具合が感じられる。

リニア新幹線「2027年開通」に漂う不安、JR東海に課題山積み
2018年末から中断していたリニア中央新幹線の名城非常口掘削工事が、11月26日に再開した。27年の品川―名古屋間開通に向けて、リニア工事の技術的な難しさに注目されがちだが、保安林解除や残土、用地買収など事業者の交渉や段取りが肝となる課題も山積みだ。

大手ゼネコン中間決算は過去最高益が相次いだ。その多くは国内建設事業の好況さにけん引されたもの。「海外事業」「不動産開発」など各社が中期経営計画で掲げる注力分野による業績へのインパクトはまだ限定的だった。

「渋谷スクランブルスクエア」複合高層ビル開業でメリットを得る意外な企業
渋谷駅の新たな目玉として「渋谷スクランブルスクエア」東棟が11月1日に開業する。渋谷駅で鉄道を運行している東急、JR東日本、東京メトロは渋谷で新たな収益源を得ることになるが、渋谷再開発のメリットを享受するのは彼ら事業主体だけではなかった。

トンネル工事の名門として知られる中堅ゼネコンの佐藤工業(東京)は、2002年に会社更生法の適用を申請して経営破綻、同年に上場を廃止した。09年に更生手続きを終えたが、業界が絶頂期にある今、破綻の影響は続いているのか。再上場はあるのか。宮本雅文社長に聞いた。

第9回(下)
かつてバブル崩壊後の不況で業績が悪化したゼネコンは、建設業の好景気に乗り復活を遂げている。中堅ゼネコンの飛島建設もその中の一社だ。会社の仲間にリストラを宣告した経験を持つ乘京正弘社長が、今取り組んでいる技術開発や海外戦略などを踏まえ、将来について語った。

第9回(上)
中堅ゼネコンで土木技術に定評がある飛島建設。バブル経済崩壊で規模を縮小したものの、近年では建設業を中心にM&Aを仕掛ける側に回っている。乘京正弘社長に景況感や今後の業界再編について聞いた。

第9回
かつてスーパーゼネコン5社に匹敵する規模の売上高を誇った熊谷組。海外投資や不動産開発などを積極的に展開していたが、バブル経済崩壊によって急速にその規模は縮小した。今では準大手ゼネコンとなったが、昨今の建設業界の景気の波に乗り、力を取り戻しつつある。櫻野社長に過去の教訓と次の一手を聞いた。

FCバルセロナ本拠地改修を日建設計が受注、大金星の裏に「ザハ案」の雪辱
スペインのサッカークラブの強豪、FCバルセロナの拠点である「カンプ・ノウ」スタジアム。この改修工事の設計を受注したのは日本の設計事務所だった。世界の名だたる設計事務所との競合に勝った背景には、日本の新国立競技場の建設で白紙撤回されたザハ案に協力した際に培った「秘策」があった。

新国立とカンプ・ノウに見る「設計事務所vsゼネコン」の相互領空侵犯
日本の設計大手である日建設計は、スペインの有名サッカークラブ、FCバルセロナの拠点スタジアムである「カンプ・ノウ」を改修する設計コンペで世界の競合を制し、受注を勝ち取った。しかも、ゼネコンが担うプロジェクトのマネジメントの一部も担当し、工事を行う施工会社を主導する役割を任された。こうした従来の設計にとどまらない受注はスタイルとして定着していくのか。

第7回
準大手ゼネコンの戸田建設が2024年竣工を目指して自社ビルとその隣で再開発を進めたり、再生可能エネルギー事業にも注力したりするなど事業の多角化を進めている。元敏腕営業マンで、トップ就任後の経営改革でV字回復を先導した今井雅則社長に、業界の変化やこれからの見通しを聞いた。

第7回
バブル後の不況で業績が悪化したゼネコン業界では破綻や再編する会社が相次いだ。当時、経営企画に携わっていた五洋建設の清水琢三社長が企業体質の変化を振り返るとともに、2020年以降を見据えた経営を語った。

第6回
明治時代に海軍の工事を中心に手掛けた創業以来、海洋土木(マリンコンストラクション)に強い準大手ゼネコンの五洋建設。1960年代に海外進出を果たし、連結海外売上高比率は約3割と、大手ゼネコンよりも高い。大手ゼネコンが海外展開を加速するために国外でのM&A投資を強める中、五洋の清水琢三社長に同調する気はゼロ。それはなぜなのか。

第5回
土木は別会社で建築に特化している大手ゼネコンの竹中工務店は、スーパーゼネコン5社の中でも唯一の非上場会社。他社が海外でローカル企業の工事や不動産開発を進める中で、日系企業の案件を中心に受注し、他社が海外M&Aを急ぐのを横目に国内の地方創生やまちづくりを研究している。今年3月に就任した佐々木正人新社長に異色の戦略を聞いた。

「海外より国内工事」「不動産開発より既存の建設事業強化」の色が強かった大手ゼネコン大成建設。2018年度からスタートした3ヵ年の中期経営計画では、海外強化などを目標に掲げて方針転換を進めている。戦略を語る村田誉之社長の言葉には、好業績と裏腹に危機感がにじむ。

ゼネコン・建設業のピラミッドで頂点に立つスーパーゼネコン5社の社長は、まさに業界のトップ・オブ・トップ。実は現社長に創業家出身者はいない。社長になる伝統的な条件から今後のルートまでを探った。

第3回
大手ゼネコンの中でも特に建築事業が強い清水建設は5月、新中期経営計画(2019~23年度)で不動産開発事業に5000億円を投じる計画と、30年度までの長期経営計画で海外売上高を5倍(18年度比)に成長させる目標を掲げた。積極的投資を仕掛ける事情とは? 技術と営業を経験してきた井上和幸社長に聞いた。

第2回
ゼネコン業界2位の鹿島は、古くから青函トンネルなどに代表される技術の難易度が高い土木工事をこなし、建築でも超高層ビルのパイオニア的存在だ。2015年に就任し「現場第一主義」を掲げる押味至一社長は、人手不足を含め業界の課題とどう向き合い、どんな未来を描いているのか。

第1回
関西出身のゼネコンでありながら、東京スカイツリー(2012年開業)を施工して在京組を震撼させた大林組。本社を構える品川でリニア中央新幹線の新駅工事を施工し、名古屋の新駅工事も受注した。売上高はスーパーゼネコンでトップの2兆円超。18年に就任した蓮輪賢治社長に過去、現在、未来を聞いた。
