伝わる英語は「やさしい英語」。
× My job is an English teacher.
○ I teach English.
ビジネス英語の最難関、「特許翻訳」のプロフェッショナルが、英語習得の最短ルートを提案!
コツはたった1つ。主語、動詞、目的語の「3語」を並べるだけ。SVO(誰かが、何かを、する)を極めることが、すべての基本。新しい文法、単語、構文の暗記はいりません。
「伝わる英語は、やさしい英語」をモットーとし、30万部を突破したベストセラー、『会話もメールも 英語は3語で伝わります』の著者である中山氏に、その詳細を語ってもらいます。
(本記事は2016年10月12日付け記事を再構成したものです)
伝わる英語は、やさしい英語
「私の仕事は英語講師です」。
これを英語にするとき、あなたはどう考えますか?
「私の仕事」はMy job...。
「英語講師」はEnglish teacher...。
そうそう、冠詞のan をつけてan English teacher...。
「~です」にはbe 動詞のis を使って…。
My job is an English teacher.(完成!)
正しい英語です。ですがこの英語、もっと簡単に、しかもわかりやすくできます。
I teach English.
どうでしょう。直訳すると、「私は英語を教えています」ですが、意味は「私の仕事は英語講師です」と同じです。文が短くなっただけではなく、直感的にも理解しやすくなっていませんか。
本連載を通して、皆さまに学んでいただきたいのは「複雑な文をやめて、まずは3語(主語、動詞、目的語)で組み立てる」というスキルです。
難解な英語から生まれた
「3語の英語」
私は若い頃、生真面目に英語を勉強していました。学生時代にTOEIC950点、そして英検1級を取得。その後TOEIC のさらなる点数アップを経て、英語を積極的に学びました。
しかしひとたび社会に出ると、英語を「使う」ことがまったくできないことに気づきました。最初の就職先の工業薬剤メーカーでは、英語を思うように話せず、そして書くこともできません。
会話はおろか、得意だと思っていた英文法、英語ライティングですら、実務の世界では苦戦しました。
落胆しました。苦しい。情けない。
すがる思いで就いた次の仕事は、「特許翻訳」という英語ライティングの中でも、特に難関な分野です。新しい発明における「技術」を英語で描写し、その上でアメリカやヨーロッパの国々へ「特許出願する文書」を英語で書く仕事です。いわゆる産業翻訳の中でも、特殊で超難関とされています。
あえて超難関な英語ライティングに取り組み、苦しい英語漬けの日々を過ごし鍛錬することで、自分の英語が改善されるのではないか、と考えました。大変かもしれない。しかし、挑戦してみたいと思いました。
予想通り、いえ予想以上に苦しみました。まったく歯が立たない。まず、「技術」を説明する日本語の意味がわからない。そして、それを英語で組み立てる表現力もありません。
特許の日本語と英語は、特殊で難解です。新しい発明を扱うため、内容が複雑で、1文が長く、しかも冗長な傾向があります。さらには「特許の英語は、別に読みづらくてもよい」という業界の風潮もありました。
しかし、難解で読みづらい英語では、特許を取得できる可能性が低くなります。「伝わらない英語」を組み立てても、なんの意味もない。そんな現実を目の当たりにしてきました。
この苦しさから抜け出したい。この世界をなんとか変えたい。そう強く思いながら、苦悶していました。
そんなとき、救済を求めて探し当てたのが、その後の私の英語の指針となる「英語テクニカルライティング」でした。テクニカルライティング、工業英語、技術英語などとも呼ばれます。
英語テクニカルライティングのルールにしたがえば、「複雑な専門技術の文」も、「難解な技術的構造・メカニズムの文」も、平易な英語で表現できることがわかりました。