「仕事の定義」を繰り返し続ける

山梨 そしてボールを打って、ファーストに走る。大きな当たりだったらセカンドに走ってツーベースヒットを狙う。そのあたりの、野球の全体像がわかってくると、ようやく野球というゲームのおもしろさを理解できるようになる。

瀧本 点をとる、点を与えない、というゲームの本質が見えてくる。

山梨 マッキンゼーでいうと、プロジェクト・マネージャーくらいになってようやくゲームの本質が理解できる。そこからもう一歩進んでパートナーになると、先発ピッチャーを誰にするか、打順をどう組み替えるか、といった監督的な思考を含んだ仕事になる。

 そしてシニア・パートナーになると、今度は「長いペナントレースをどう戦うか」や「シーズンオフにどんな補強をおこなうか」が見えてくる。野球でいうとゼネラルマネージャーに近い発想が求められる。

瀧本 野球というひとつのスポーツに対して、ステージごとに取り組み方が変わるわけですね。

山梨 まさに。自分の仕事を、自分で定義する。その定義も、数年ごとに更新していく。これをくり返していくと、仕事の本質がわかるだけでなく、仕事に飽きずにすむ。人生に飽きなくてすむ。

瀧本 マッキンゼーに転職してくるだけでも相当価値観を揺さぶられるのに、ステージごとに大きなシフトチェンジを迫られるわけですね。

山梨 しかもそれは、自分自身で意識的にやらなきゃいけないことですしね。

(以下、後編「マッキンゼーの人は「何」がすごいのか?」に続く)

マッキンゼーで活躍する変人、活躍しない秀才