なぜOA機器の大手、リコーが
LED照明に参入するのか

 今年の夏、企業活動や個人の生活に大きな影響を与えそうなのが電力規制です。東日本中心に各企業、ご家庭でもどうやって節電していくかを検討している方が多いのではないでしょうか。

  その電力消費の中で約2割を占めているのが照明に使う電力です。照明の分野では、震災前から消費電力の少ない発光ダイオード(LED)照明が注目されていましたが、節電需要の高まりで、メーカー各社は商品の拡充や増産を検討し始めています。

 そんな中、OA機器メーカーのリコーがLED照明事業に参入すると発表し、4月21日の日経新聞の1面トップでも取り上げられました。リコーといえば、コピーやプリンター、デジタル複合機などのOA機器分野で、キヤノンや富士ゼロックスと首位争いを演じている大手企業です。そんなOA機器大手のリコーが、畑違いの照明分野に参入する、ということで果たして成功するのだろうか、ちょっと無謀なのではないかとお感じになる方も多いのではないでしょうか。

 今回は、リコーがLED照明市場に参入した経緯と、この市場でどうやってライバルと戦おうとしているのかをランチェスター戦略の視点から解き明かしていきます。

 まずリコーとLEDの関係ですが、リコーはプリンターの部品ですでにLEDを採用しています。LEDプリンターと呼ばれ、一般的なレーザープリンターのレーザー発生部分の部品をLEDに置き換えた商品です。リコーは同プリンターですでにLEDの調達ルートや商品化など技術的な蓄積がありました。そこにLED照明の市場拡大が見込まれるようになり、事業化に踏み切ったと考えられます。