似たような経緯でLED照明に参入しているのがシャープです。シャープはいわゆる“白物家電”は扱っていましたが、電球など照明器具には長らく参入していませんでした。そのシャープは3年前の2008年からLED照明に参入しています。シャープとLEDの関わりはリコーよりも深く、1968年から研究に着手し、シャープの屋台骨を支える液晶パネルの技術にも応用しています。自社でLED素子も製造しているので、LED照明への参入はより自然な流れだったかもしれません。

 リコーやシャープを迎え撃つ形になるのが既存の照明器具メーカーです。照明器具はパナソニック、東芝、日立、NEC、三菱電機などの大手電機メーカー(一部子会社含む)がしのぎを削る激戦市場。そこに参入していくわけですが、シャープは比較的個人消費者に馴染み深いメーカーで、LED照明のCMも吉永小百合さんを起用して消費者に訴求しています。一方でリコーは個人消費者に浸透しているとは言い難いところがありますし、パナソニックのように住宅設備部門(パナソニック電工)を抱えているわけでもありません。さて、リコーに勝算はあるのでしょうか。

OA機器市場で培った
法人市場を狙うリコーの戦略

 リコーが仮に、家電量販店や商店街の電気店でパナソニックや東芝に真正面から勝負していこうとしても、成功の確率は大変低いでしょう。まずもって後発メーカーが家電量販店の売り場で商品の棚を確保すること自体が難しいですし、棚を確保できたとしても、照明器具ではあまり馴染みのないリコーの商品を一般消費者が購入するのは、期待薄です。やはり使い慣れた、馴染み深いブランドの商品に手が伸びるのが一般的な消費者心理です。