途上国で劇的な進化を遂げる
代替エネルギー

 実はこのソーラーランタン、いま途上国で爆発的にシェアを伸ばしている製品だ。世界では、今も約15億もの人々が電気を使うことができない。安定的に電気を得られるかどうか、ということも考えれば、むしろ、電気を使えないということの方が当たり前だ。しかも、2030年までに新たに電気を手にすることができる人々は、そのうちたった十数%だという(※1)

 そのような逆境で、この「ソーラーランタン」という技術は進化を続けている。これまでは、発電所を整備するのも、配電網を整備するのも巨大な資本と高度な技術が必要だった。人々に許された選択肢はランプ用の高価な灯油を買い、それを灯すだけだったのだ。それに比べ、太陽光発電は電気の届かない地域において、最も効率のよい電力供給の方法だった。なにせ、太陽が照る場所であればどんな地域でも使えるのだから。

 コペルニクに製品を提供するディーライト社は世界でもっとも安価で安心して使えるソーラーランタンを創りだそうと目論んでいる。ディーライト社が目指すのは、最も低価格で管理の手間がいらず、使いやすい太陽光発電を用いた普及品の確立だ。電気を使うことのできない15億人を広大な「市場」と見なし、アメリカで資金を調達し、中国の工場で作り、インドとアフリカに製品を供給していく。2010年11月現在、40か国を超える国々で200万を超える人々に新たな光をもたらすことに成功している。 創業からたった数年のベンチャー企業の挑戦にもかかわらず、だ。そして、彼らは2015年までには5000万人、2020年までには1億人の人々の生活を変えるという目標を公にしている。

(※1)ENERGY POVERTY How to make modern energy access universal OECD/IEA 2010 p9

加速するクリーンエネルギーの進展

 各国の企業や起業家の挑戦が相次ぎ、太陽光発電の技術革新は続々と進展している。発電効率は上がり、バッテリーの問題も急速に解決されつつある。さらに、生産の大規規模化が進み、性能・価格ともに状況は急速に変化している 。2030年までには、新素材を活用した太陽光発電システムの量産化や更なる技術革新が予測され、太陽光の発電効率は現在の約三倍、火力発電と同程度までの発電効率(費用あたり)に向上することが予測されている(※2)

 また、照明に限定して話をすれば、近年、急速にLED技術が発展しており、従来の照明技術よりも、より少ない電力でより明るい照明が可能になりつつある。

(※2)太陽光発電ロードマップ(PV2030+)NEDO 2009を参照