あえて、後方支援に徹するという
冷静な判断
「ソーラーランタンを手配すれば、被災地まで届けてくれる団体はいますか?」
プロジェクトは、コペルニクの代表、中村俊裕のこのつぶやきから始まる。本来であれば、震災の起こった3月11日は、第一回目のコペルニク・フォーラムが六本木で開催されるはずだった。この記事を書いている僕自身、まさに六本木に向かう途中で震災と遭遇した。とりあえず六本木に行こうかとも考えたが、鉄道が止まってしまい、移動する手段がなかった。その約1時間後、フォーラムの中止の連絡がtwitterを通じて告げられた。
「持っていくだけでなく、適切な場所に分配してくれる団体がいれば」
スタッフや参加者の安否確認が終わると、中村は被災者の支援のあり方を考え始める。多くのNPOが支援に奔走する中、中村の判断は冷静だった。
「自分たちが支援活動をするというよりも、緊急支援ができるロジスティック能力・キャパシティーを持っている既存の団体を支援するということが、コーディネーションコストを上げず済むし、一番正しい」
こう判断し、あえて後方支援に徹するという選択をしたのだ。国連勤務時にインドネシアで津波被害の復興支援を担当した中村だからこその判断だった。
「既存の団体の支援としては、普通お金(寄付)が一番受け入れやすいのですが、もし受取先がいて、そこが必要とするのであれば、ソーラーランタンや浄水機器などを送ることも念頭に入れております」
インターネット上でいくつかアイデアが飛び交ったその翌日、モンベルの義援隊を通じてソーラーランタンを被災地に送ることが決まった。寄付を募るウェブページが公開され、たった数時間で必要金額の3分の1が集まり、その翌日には、すでに必要金額の全額が集まり、次のプロジェクトの計画が告げられる。日本だけではなく、タイからも数万円の支援が寄せられたという。