一方で、自然エネルギーによる発電量も、ドイツは着実に増やしてきた。

 2000年の時点で、ドイツの自然エネルギーによる発電量は、全体の6%に過ぎなかった。当時は、EUで決められたドイツの目標値――2012年までに12%――を達成できるのか危ぶむ声すらあった。

 しかし蓋を開けてみれば、ドイツの政策はあまりにも成功した。2010年の段階で、目標を上回る17%を実現したのである。10年で11ポイントもアップしたことになる。

 EUでは、2009年採択した「自然エネルギー指令」で、2020年までに自然エネルギーの割合をエネルギー消費全体の20%とする目標を掲げた。その指令に基づき、各国はナショナル・アロケーション・プラン(国別割当計画書)の提出を義務づけられる。ドイツの場合、2020年までに電力消費量を現在より10%低減させ、自然エネルギーは少なくとも全体のおよそ40%にする、というのが目標だ。自然エネルギーの発電量を、現状の倍以上に増やす計算になる。

 このプランが実現すれば、現時点で10%の原子力エネルギーが2020年にゼロになっても、十分におつりがくる。ドイツは原子力だけでなく石炭による発電も減らす必要に迫られているが、その二つを減らしても余りあるほど、自然エネルギーの増加が急ピッチで進んでいる。

ネックである発電コストも逓減傾向
ドイツは2050年に自然エネルギー80%へ

 ドイツの成功は、過去10年にわたる「固定価格買取制度(電力会社に、法律で定めた価格でエネルギーを買い取らせる助成制度。日本の法案では「全量買取制度」)」の成果である。しかも、小規模な電源を消費者の近くにおく小規模分散型電源の特徴もあらわれ、普及すればするほどコストが安くなっていった。これらの実績があるからこそ、今後10年で倍増させる高い目標をも達成できる実行力を感じさせる。