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ソーシャルメディア進化論

【第1回】
「ソーシャルメディアは死んだ」と言われる日は近い…?

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第1回】 2011年7月19日
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「現実生活」でつながるソーシャルメディアの死角

 コミュは知人リストに公開されるため、自然と見せたくないもの、見られたくないものを避けるようになります。たとえばこんな具合です。

「妻の友達からフレンド申請が来たため、長い間お世話になった『六本木の夜を研究する会』とお別れすることになりました」

「彼氏候補をマイミクに入れたので『合コン必勝メイクコミュ』から脱退します」

 試しに「歯周病」というテーマで観察してみると、匿名性の高いQ&Aサイト「ヤフー掲示板」では1万件以上の質問が挙がっているのに対し、ミクシィのコミュはわずか2つしか見当たりません。

 私たちの研究グループは、SNSを特に頻繁に利用している主婦を対象にグループインタビューを行いました。被験者の大半が「SNSの利用に疲れている」と答え、その理由としてみんなが共通して選んだ言葉は「窮屈」というものでした。

「私のマイミクはほとんどが子育て中のママさん仲間です。2歳児の子どもを持つママさんたちとつながっています。昨夜、わが家はホットプレートで焼き肉パーティーだったので、写メ(ケータイ電話で撮る写真)を撮って日記にアップしようとしましたが、あ、そういえば、牛肉アレルギーを持っているお子さんのママがいたな、と思い出して、その日記の公開をやめたんです」

 かくして現実生活の交友関係という、いわば退室することのできない閉じられた空間のなか、過度なやりとりがお互いを監視するような状況をつくり出します。つながればつながるほど、職場、学校、地域の一員としての立場に拘束されていくということは、昔の恋人と高校時代の悪友と馴染みの居酒屋の店長を連れて、新しい上司に会いにいくようなシチュエーションが起こるということです。

 実際、2008年にシノベイト社が行った調査では、「SNSへの興味を失ってきている」という質問に55%がイエスと回答しています。好調であったフェイスブックも2011年の5月、ついにその活性の伸びを減少させ、北米で700万人以上のユニークユーザーが離脱したと発表されました

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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